伝説の人物、アラン・チューリング氏の本当の姿とは? - (page 3)

Nick Heath (TechRepublic) 翻訳校正: 沙倉芽生

2015-11-20 06:00

 Turing氏が有名になったきっかけは、Enigmaの36種類の機能をエミュレートするマシン「British Bombe」を設計したことだ。Bombeは、Enigmaがメッセージを暗号化するさまざまな手法を迅速にチェックできるマシンだった。その手法は、数を絞り込んだとしても100万以上はあったため、処理の自動化は必須だった。

 しかし、Turing氏の暗号解読に関する仕事は「1942年の中ごろにはすでに成り行きに任せている状態でした」とDermot Turing氏。では、残りの戦争期間中、Turing氏は何をしていたのだろうか。Dermot Turing氏は、政府通信本部が一般公開する予定の新たな資料を本書執筆中に入手したのだが、その資料にはTuring氏の「知られざる日々」について書かれていたという。

 「叔父は、暗号解読の担当を外れ、連合国通信のセキュリティを担当するようになっていたのです」

 この時期Turing氏は、当時の英国首相Winston Churchill氏と米国大統領Franklin D. Roosevelt氏との電話が盗聴されることのないよう、音声暗号化に取り組んでいた。Dermot Turing氏によると、両国代表の電話は過去に盗聴されていたという。また、Turing氏は一時期、電報やラジオによって送られたメッセージの解読も担当していたという。

 「過去の資料では、叔父があの時期に何をしていたのかわかりませんでした。新たな資料によって明確になってきたのです」(Dermot Turing氏)

 Dermot Turing氏は、叔父に会うことはなかったが、調査を通じてTuring氏がどのような人物だったのかだんだんとわかるようになり、伝説の人物と思っていた人物が、叔父という1人の人間として感じられるようになったという。

 「われわれが見ている叔父の姿は、作られた役柄であって本当の姿ではありません。今回、少し異なる視点から叔父のことを知ることができてよかったと思います」(Dermot Turing氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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