中国ビジネス四方山話

認知広がるも問題山積みの中国式クラウドファウンディング

山谷剛史 2015年11月24日 06時00分

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 クラウドファウンディング(中国語で「衆籌」)の認知度が高まっている。まだ知る人ぞ知るところではあるが、一部ではネットの口コミを通じて爆発的に認知が広がっている。そしてクラウドファウンディングもまた、米国や日本とは異なる形で中国では発展していて、それを中国式クラウドファウンディング「中国式衆籌」と呼ぶメディアもある。

 クラウドファウンディングといえば、たとえばアーティスト個人やグループ、それにゲーム会社をはじめとしたクリエイティブな企業が作品を作るために、資金を募るというのが比較的知られているように思える。また日本でクラウドファウンディングといえば、世界の貧しい地域や国内外の弱者を救済するためのモノや施設を作るための資金集めに使われることも多いように思える。全てではないが、寄付的な要素のあるものが一勢力を占めている。

 そうしたクラウドファウンディングは中国にもある。たとえば寄付系クラウドファウンディングサイト最大手の「衆籌網」では、「チベットのある地域で、地元民が自立できるように、宿泊施設の建設資金を集めたい」「貧困農村地域の、両親が出稼ぎにいっている子どもたちに暖かい下着を」「世界一周102日の船ツアーに乗ってビデオや写真を撮り、作品をつくりたい」などといった募集要項があがる。上海などの最も豊かな人々が、大都市の社会人生活に疲れて、チベットなどの辺境にたどり着いた後、滞在した村を助けるためにサイトを活用するパターンが多いようだ。そして各募集要項に対し、数十人から数百人の人々が各自数十元、ないしそれ以上の寄付をしている。

 しかし、中国でも最も主流のクラウドファウンディングは、そうした資金集めではなく、各人が株主となる、新興企業の立ち上げに投資するタイプのクラウドファウンディングである。この手のプラットフォームにはベンチャー企業のほか、大手サイトの百度や淘宝や京東なども参入していて、それぞれがサイトを立ち上げている。動く人も動く金も、寄付系のクラウドファウンディングに比べ、桁が違う。中国でクラウドファウンディングは、株のようなハイリターンが期待できる新しい投資手法ともみられているわけだ。こうしたサイトの立ち上げ人は中国メディアの取材に対し「西側のクラウドファウンディングでは中国人は喜ばない。中国人には中国人のやり方がある」と口をそろえる。

 中国式クラウドファウンディングには中国式のトラブルや中国式のリスクがつきまとう。確かに新しいショップや新製品開発のための企業を立ち上げ、クラウドファウンディングサイトで募集をかけ、資金を集めて、結果を出す有言実行型も多い。が、そうでないケースも目立つ。集めた金を別の投資に使ってしまったり、新製品を開発すると言っては新しいデザインのパッケージに既存製品を詰め込んだり、そもそもの起業計画の数字が虚偽であったり、サクラに申し込みをさせて「これだけ多くの人が投資している」と大きく見せたりするケースなど、どこかで見たことのあるネット詐欺の要素が散りばめられているのだ。一部の中国メディアは、投資の末に出来上がったものを素晴らしく見せるために、ニセiPhoneのような模倣の「山寨(シャンジャイ)」製品の発生源となっていると問題視している。

 国務院は6月、「クラウドファウンディングで創業機会を増やす」とサポートの姿勢を見せた。銀行の融資の後押しなど背中を押してはいるが、悪用を防ぐためのルールづくりはまだできていない。クラウドファウンディングサイトの中には、生き残りをかけて、独自の審査システムを導入しているところもある。しかし手探りの独自の審査システムを開発したところで、それは気休めになる程度で完璧からは程遠い。また全てのサイトが審査を行っているわけではないので、悪徳業者はいくらでもクラウドファウンディングサイトを選んで資金集めに活用できる。他のネットサービスがそうであったように、政府がいかにすばやく規制を作るかが、中国のクラウドファウンディング成長の鍵となろう。

山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター
2002年より中国雲南省昆明市を拠点に活動。中国、インド、アセアンのITや消費トレンドをIT系メディア・経済系メディア・トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に「日本人が知らない中国ネットトレンド2014 」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち 」など。

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