IBMはコグニティブコンピューティングに注目を集めようと、長い間取り組んできている。「Watson」の機能を医療分野に応用し、エンタープライズ市場でAppleと協力し、その能力を売り込んできた。なかでも注目すべきは、AppleのiOSでリリースされたアプリ「Watson Trend」だ。
年末商戦はまだ始まったばかりだが、Watson Trendは2015年の話題の1つになりそうだ。先週リリースされたWatson Trendの使命は、ソーシャルデータ、小売データ、およびその他のデータをマイニングして、ブームになっているプレゼントを選び出すことだ。例えば、最近は次のようなことが起こっている。
- 米国の市場関係者は、Watson Trendの情報を注視して、年末商戦での「Apple Watch」の需要を測ろうとしている。
- ジャーナリストは、このアプリでテクノロジ分野のベストセラーを調べている。
- ほかのユーザーは、購入するいいおもちゃやプレゼントを見つけようとしている。
IBMの説明によれば、Watson Trendは「ソーシャルネットワーク、ブログ、掲示板、コメント、レーティング、レビューで交わされた何百万もの会話」を分析しており、文脈、内容、感想なども考慮に入れているという。便利なトレンドグラフが、プレゼントの評価をリアルタイムで伝えてくれる。
しかし、本当にWatson Trendが示しているのは、IBMが持つの小売、マーケティング、そしてアナリティクスとベンチマーキングの能力だ。
このアプリにはいくつか弱点もある。健康分野は弱く、Nikeのシューズしか表示されない。ただし、おもちゃとテクノロジ商品の分野は、一見に値する。Watson Trendの価値は、これからクリスマスにかけて証明されるだろう。
現時点では、Watson TrendはIBMの優れたマーケティング活動を示していると捉えるべきだ。このiOSアプリは、アナリストにIBMの将来性についての考え方を少し改めさせ、Watsonを消費者のお供にする。Watson Trendが消費者の目をヒット商品に向けさせることができれば、一般ユーザーからさらに少し評価を得られるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。