IT部門が効率や革新性をどのように追求しているのかについて、米ZDNetの姉妹サイトであるTech Pro Researchが9月に調査した。その結果が「The Rise of Agile IT: Benefits, drawbacks, analysis」(「アジャイルITの興隆:そのメリットとデメリット、分析」の意)というレポートにまとめられている。同レポートは、アジャイルITというトレンドと、このトレンドが生み出された背景について概説するとともに、以下のような話題を取り上げている。
- 現在遂行中のITプロジェクトの分析
- 完了したITプロジェクトの分析
- 長期プロジェクトと短期プロジェクトそれぞれのメリットとデメリット
- 業務上の観点
- キャリア上の観点
短期プロジェクト対長期プロジェクト

長期プロジェクトから短期プロジェクトへの切り替えは組織にとって有益だと思うか
回答者の大半はアジャイルITが自らの組織に有益だと感じており、「長期プロジェクトから短期プロジェクトへの切り替えは組織にとって有益だと思うか」という質問に、60%がイエスと回答している。しかし、長期プロジェクトからアジャイルITへと実際に軸足を移している企業は47%に過ぎない。

長期プロジェクトから、より短期の取り組みへと軸足を移しているか
アジャイルITのメリット

アジャイルITにメリットがあると思う理由
ここで当然のように、なぜ回答者らはアジャイルITが自らの組織に有益だと考えているのだろうかという疑問がわき上がってくる。Scott Matteson氏が同レポートで指摘しているように、アジャイルITのメリットに対する回答者の見方は、一般的に語られているメリットと一致している。これらのメリットには、「ソリューションの迅速な配備」や「IT要員の活用」「業務上の目的との合致」が含まれている。また、アジャイルITによって「ソリューションの迅速な配備が可能になる」と答えた回答者は81%にのぼる一方、アジャイルITによるソリューションの実際の配備でそのように感じたのは63%だったという点は注目に値する。

実際に感じたメリット
Matteson氏は同レポートで、「業務上のニーズに取り組むうえでの実質的な能力(の向上)」や「問題の検出/回避にまつわる能力の向上」「コストの削減」「社外顧客のニーズに対するより効率的な対応」についてはすべて、現実よりも期待が(およそ12ポイント)上回っていると記している。
アジャイルITで経験したデメリット

アジャイルITで経験したデメリット
しかし、アジャイルITを実際に遂行した人々からのデメリットも報告されている。アジャイルITの問題としては、「コストの増加」と「問題の検出/回避効率の低下」が群を抜いて多かった。また、回答者のおよそ4分の1(26%)が、「ソリューションを迅速に配備できなかった」と答えている。
長期プロジェクトはなくならない
全体として見ると、長期プロジェクトがなくなることはないものの、アジャイルITに軸足が移りつつある。テクノロジ分野で後れを取らないようにするために、多くの企業は少なくとも一部のプロジェクトでアジャイルITへの移行を試みている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。