例えばサンアントニオでは、天候が嵐になると、路上での視認性を改善して事故を減らすよう、街灯が調整される。シカゴでは、予測的アナリティクスを用いて、次にどのゴミ収集所が溢れ、ネズミを引きつける可能性が高いかを判断することで、市が齧歯類の生息数をコントロールしている。サンフランシスコでは、あるアプリを使うと、スマートフォンユーザーは町中の空いている駐車スペースを検索することができる。ドイツのハンブルク市は、2034年までに市内全域からすべての自動車をなくすという、極めて高い目標を設定している。コペンハーゲンは、2020年までに世界の主要都市で初めてカーボンニュートラルな都市になるという目標を掲げた。
交通、駐車スペース、街灯
スマートシティのもっとも便利な側面の1つが、テクノロジを使って交通と駐車場の問題を軽減することだ。道路に設置されたセンサで、駐車スペースの空き状況を確認できれば、スマートフォンのアプリを使って、リアルタイムで最寄りの空き駐車スペースを発見できるようにすることも可能だ。
Built.ioの最高技術責任者(CTO)であり、サンフランシスコ市のコネクテッドシティの取り組みにおける諮問委員を務めるNishant Patel氏によれば、同市では、市の駐車場でこの機能が利用でき、これを道路上の空き駐車スペースの監視にも拡張しようとしているという。Patel氏は、サンフランシスコ市に対し、次世代の実現技術を特徴づけるようなIoTの利用例を模索するようアドバイスしている。
ドライバーが素早く駐車スペースを発見できるようになると、交通パターンにも大きな影響を与える。バルセロナでは、市の街灯にセンサを組み込み、ユーザーに空き駐車スペースの場所を知らせるようにしたことで、駐車場を探して道路をさまよう車が減り、交通量が減少した。これは当然、環境負荷の軽減に役立つ。町中をさまよう車が減れば、二酸化炭素の排出量も減り、消費燃料も抑えられるからだ。
米高度道路交通協会(ITS America)によれば、都市の交通渋滞の30%は、駐車スペースを探しているドライバーによって引き起こされていることがデータで分かっている。
ロンドンの情報セキュリティフォーラムのマネージングディレクターSteve Durbin氏は、スマート街灯に取り付けたHDカメラと駐車場センサにより、駐車スペースをしっかり監視すれば都市の収入は増えると述べている。また、このHDカメラと駐車場センサには他の利点もあるという。
「道路にはセンサがあり、駐車時間を計測してくれるため、パーキングメーターにいくら投入するかを悩む必要はなくなる。交通事故が起こった場合も、巻き尺で距離を計測する必要がないため、交通規制を早く解除できるようになる。この情報を保険会社や保険請求とリンクすれば、請求をより素早く処理することもできる。こういった多くのことを、スマートシティ環境の恩恵として捉えることができる」とDurbin氏は述べている。
空き駐車スペースをドライバーに知らせるには、各駐車スペースの舗装にセンサを埋め込む方法と、スマートLED街灯のセンサを使用する方法がある。
街灯を利用すると、都市を低コストでスマート化することができる。街灯はどんな都市にもあり、スマートLED街灯にHDカメラを追加する費用はそれほど高くないためだ。街灯から収集したデータは、予測的アナリティクスで使用することができる。「都市はこれらのテクノロジとセンサをまとめて手に入れられる」とGEのAshe氏は言う。
シカゴはスマートシティ技術の導入で先駆的な都市の1つだ。
提供:Teena Hammond/TechRepublic