Rometty氏の講演で印象的だったのは、コグニティブシステムであるWatsonのPRもさることながら、これからの企業のビジネスは「コグニティブビジネス」になると強調していたことだ。IBMならでは提言である。同時に、このビジネスを業績向上への確かな足がかりにしたい同社の意気込みがひしひしと伝わってきた。今後の同社の復活ぶりに注目したい。
「IoT市場の拡大に向け、システムプラットフォーム事業を進化させたい」 (NEC 庄司信一 執行役員常務)

NECの庄司信一 執行役員常務
NECが先ごろ、IoT(Internet of Things)ソリューションを支えるシステムプラットフォーム事業の強化について記者会見を開いた。同事業を統括する庄司氏の冒頭の発言は、その会見で、IoTソリューションの展開に向けた意気込みを語ったものである。
庄司氏は会見で、「IoT時代の市場は今後、異業種と連携した迅速なサービス提供や、製造現場の稼働状況をリアルタイムに把握して迅速な経営判断に生かすなど、従来はつながりがなかったモノやコト同士が容易につながることで新たな価値を求めるようになっていく。それにより、現在のクラウドを中核とした市場から大きく拡大していくと予測している」と語り、冒頭の発言を続けた。
NECは今年6月にIoTを活用した次世代ものづくりソリューション「NEC Industrial IoT」を提供開始。7月にはIoTソリューションメニューと体制の拡充を図った。今回はその際に明らかにしたIoTの5層モデルのICTプラットフォームにおける強化方針と、製品開発体制の強化について発表した。

NECのICTプラットフォームの強化方針
強化方針としては、無数のデバイスから収集された大量のデータをリアルタイム処理し有効に利用するための「高速・高精度な分析処理」、付加の変動に応じてアプリケーションを最適な層で実行させ、効率的なシステムを実現する「分散協調型処理」、多数のデバイスから収集されたデータを安全かつ効率的に処理する「デバイスの仮想化」、5層全層にわたる「セキュリティ」の確保と、デバイスやネットワークを含めた「統合運用管理」の5つを挙げている。
今回の発表に関するさらに詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、以下に庄司氏が語ったNECのIoT事業における競合他社との差別化ポイントについて記しておく。
「競合他社もさまざまなIoTソリューションを打ち出しているが、5層モデルを明確に定義し、ビッグデータやクラウド、セキュリティなどの知見を活用してIoTに総合的に対応できる幅広く優位性のある技術を保持しているのは、世界の有力なICTベンダーの中でもNECがトップクラスだと自負している」
同氏が語るように、NECはIoT関連事業を“お家芸”の1つに仕立て上げていくことができるかどうか、注目しておきたい。