米政府は現地時間11月27日、先ごろ可決された法律に基づき、国家安全保障局(NSA)がこれまで実施してきた大規模な通話記録収集プログラムを28日には終了すると発表した。Reutersなど各社が報じた。NSAは同プログラムの終了に伴い、より対象を絞り込んだ小規模な通話記録の収集プログラムに移行するという。
今回のプログラム移行は、6月に上院で可決された「米国自由法(USA Freedom Act)」に基づくもので、NSAや各種の法執行機関は、不審な活動の監視を目的とした大規模な通話記録の収集を禁じられる。今後、これらの機関が通信事業者を通じて特定の人物や組織を監視する場合は、あらかじめ裁判所命令を取得する必要があり、監視期間も最大6カ月間に限定される。
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全米のみならず世界中を議論の渦に巻き込んだNSAの通話記録収集プログラムは、元職員のEdward Snowden氏による衝撃の暴露から2年半を経て、ようやく終焉を迎えることになる。Reutersによると、2011年9月11日に米ニューヨークで発生した同時多発テロ以降、拡大の一途を辿っていた米国の諜報活動が、これほどの規模で縮小されるのは初めてだという。
Reutersは今回のプログラム移行について、「政府機関による歯止めの効かない情報収集に危機感を抱いていたプライバシー擁護派やIT企業にとり、長らく待ち望んでいた勝利だ」と報じた。しかし一部の共和党議員らは、先ごろフランスのパリで発生したイスラミックステート(IS)による同時多発テロを受けて、大規模な通話記録収集プログラムを2017年まで継続するよう要求しているという。
なお、NSAの通話記録収集プログラムの妥当性と有効性を調査していた大統領の検討委員会は、NSAが収集した膨大な通話記録がテロ防止に決定的な役割を果たした事例は1件もなかったと結論付けたと、Reutersは報じている。