Microsoftがエンタープライズ向けサービス「PowerApps」の限定プレビューを開始した。
PowerApps(開発コード:Project Kratos)は企業ユーザーや開発者がカスタムのネイティブアプリやモバイルアプリ、ウェブアプリを作成し、組織の中で簡単に共有できるようにすることを意図したサービス。Microsoftはスペインのバルセロナで開催中の「Convergence 2015 EMEA」イベントで現地時間11月30日、同サービスの招待制プレビューを発表し、「iOS」「Android」「Windows」やウェブでPowerAppsが動く様子をデモした。
Microsoftが目指しているのは、ユーザーがたとえ一行たりともコードを書けなくても、企業内に散らばるSaaSやオンプレミスアプリのデータがもつ力を集約できるようにすることだ。PowerAppsの中核にあるツールのフレームワークは同社が何年も前に始めたビジネス開発ツール「Project Siena」である。
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PowerAppsサービスはAzureで稼働し、「Azure Active Directory」「Azure App Service」「Azure Media Services」と連携する。またGraph APIを通してOffice 365と連携することも可能なほか、パブリックAPIやコネクタを利用して、サードパーティーのサービスに格納されたデータにもアクセスできる。
PowerAppsはネイティブなアプリとしてユーザーのiOSやAndroid、Windows端末にインストールして利用する。作成したアプリはクラウドにもローカルにも保存することが可能で、Office 365のドキュメント共有のように、他のユーザーにアクセスを与えることもできる。
Azure App Platform担当コーポレートバイスプレジデントのBill Staples氏は「仕事でもあらゆる種類の端末が使われるようになってきているが、企業用アプリの多くは、コンシューマー用アプリのように勢いよくはモバイル化されていない」と述べる。
Microsoftは、PowerApps開発者が作る企業向けモバイルアプリの利用例として、在庫システムにアクセスするアプリ、特定のアカウントや顧客に関する最新情報を営業部員に通知するアプリ、採用への応募をスクリーニングするためのアプリなどを考えている。
PowerAppsの価格はまだ発表されていないが、今後提供されるSKUについて一部の情報が公開されている。
PowerAppsの無料版では、アプリを制約なく作成でき、ユーザーごとにクラウドのデータソースを2つまで利用できる。Standard版はアプリを無制限に作成、利用でき、クラウドのデータソースも制約を受けずOffice 365やDropbox、Dynamics CRM、Salesforceなどを利用できる。Enterprise版もアプリを無制限に作成、利用でき、クラウドのデータソースも制約を受けないうえ、MS SQLやDynamicsなどのオンプレミスのデータソースにも対応する。Enterprise版は、(他とシェアされない)専用のインフラのほか、アプリのガバナンス、アクセスコントロール、レポートの機能が提供される。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。