Hewlett Packard Enterprise(HPE)は12月1日、英ロンドンで開催中の顧客・パートナー向けイベント「Hewlett Packard Enterprise Discover 2015 London」で、Microsoftとの提携を正式発表した。提携の下、Microsoftのパブリッククラウド「Microsoft Azure」を”preferred public cloud(推奨パブリッククラウド)”として提供する。
Microsoftとの提携は、HPEの最高経営責任者(CEO)、Meg Whitman氏が11月末、決算発表で明らかにしていた。Discoverの初日となる12月1日のプレス発表会で、HPEとMicrosoftの幹部が詳細とともに正式に発表した。HPEでクラウド担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャを務めるBill Hilf氏は、「HPEとMSは同じような市場認識を持っている」と共通認識が土台にあることを強調した。2社は共同顧客も多く、「ともにハイブリッドクラウドの重要性を信じており、この分野でもっと深く協業する必要があるという結論に至った」と説明した。

HPEでクラウド担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャを務めるBill Hilf氏(左)とMicrosoftのクラウド&エンタープライズ担当ゼネラルマネージャ、Garth Fort氏
提携の内容について具体的に語ったのは、Microsoftのクラウド&エンタープライズ担当ゼネラルマネージャ、Garth Fort氏だ。Fort氏はMicrosoftの全体の戦略として、顧客の現状をみて戦略を立ているとし、例として、先に発表したRed Hatとの提携やDockerのサポートに代表されるオープンソース分野での取り組みなどを示した。HPE(当時Hewlett-Packard)とは1年前の「Office 365」で提携、HPのサービスやサポートを組み合わせた「HP Enterprise Services for Office 365」を展開している。
今回の提携は、パブリッククラウド「Windows Azure」に関するもので、HPEはMicrosoftにとって、Azure環境の推奨(Preferred)パートナーになる。HPEはAzureをパブリッククラウドの推奨パートナーとして、ハイブリッドクラウドを求める顧客に提供する。
第一弾として、「HPE Hyper Converged 250 for Microsoft Cloud Platform System Standard(CS 250)」を発表した。HPE ProLiantとMicrosoft Azureを組み合わせた共同開発ソリューションで、「Azureを統合した初のハイパーコンバージドシステム」(Fort氏)という。顧客はこれを利用して、自分たちのデータセンターでAzureサービスを展開できる。
Azure管理ポータルを利用して、WindowsとLinuxのワークロードを実装でき、Microsoftのシステム管理をサポートするHPEの管理ツール「HPE OpenView for Microsoft System Center」を使って統合した形で管理できるという。Azureサービスのバックアップ・ディザスタリカバリが事前設定されており、「すぐに利用できる」とする。「ハイブリッドクラウドの実装にまつわる複雑性を排除する」とFort氏はメリットを説明する。
CS 250は2社が以前から開発を進めてきた製品で、同日提供を開始した。