日本株展望

「日米金融政策の方向性の差」がドル円レートを決める

ZDNet Japan Staff 2015年12月02日 10時58分

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 12月1日の日経平均は264円高の2万12円だった。朝方発表された法人企業統計(7~9月)で設備投資が前年比プラス11.2%と大きく伸びていたことが好感された。また、欧州中央銀行(ECB)による追加金融緩和、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げが近づいていると考えられる中、ドル円為替レートが円安(ドル高)方向に動きつつあることも支援材料となった。

 今回は、前回に続き、「ドル円為替レートの見通し」について楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏が解説する。

さらなる円安が進む余地は残っているものの、だんだん小さくなってきている

 米国はすでに量的緩和を終了し、近く利上げが見込まれる状況だ。日本は大規模量的緩和を実施中で、さらに追加緩和が必要との観測も出ている。この状態が続く限り、円安(ドル高)がさらに進む余地は残っている。ただし、窪田氏は、円安は進んでも、最大で1ドル125~128円がリミットと予想している。その背景を説明しよう。

ドル円為替レートを変動させる要因(需給分析)

 まず、為替変動要因の基礎知識からおさらいする。ドル円為替レートを動かすマネーには、以下の3種類がある。

(1)短期投資マネーの動き

 日米短期金利差、日米金融政策の方向性の差、中央銀行による為替介入その他各種材料に反応して動く。

(2)長期投資マネー(証券投資、M&A、直接投資)の動き

 日米長期金利差(債券投資に影響)、日米企業業績のモメンタム差(株式投資に影響)、M&A(日本企業の海外企業買収、海外企業の日本企業買収)、海外直接投資(日本企業が海外で工場を建設)などに対応して動く。

(3)貿易・サービス収支によるお金の流れ、他

 為替レート変動を決めるのに一番影響が大きいのは、(1)短期マネーの動きだ。ついで、(2)長期投資マネーの動きも大きく影響する。(3)貿易・サービス収支が為替を動かすことはほとんどない。貿易による資金移動よりも、短長期の投資マネーの動きの方が、規模もスピードもはるかに大きいからだ。

ドル円レートの動きを決める最も重要なファクタは「日米金融政策の方向性の差」

 2012年11月から2015年11月まで進んだ大幅な円安(1ドル80円→1ドル123円)は、ほとんど、日米金融政策の方向性の差で説明できる。詳しい説明は、前回をご参照いただきたい。

 2016年のドル円為替レートを予想する際、最も重要なファクタも「日米金融政策の方向性の差」となる。

(1)来年、市場の予想を上回るペースで米利上げが進むか否かが鍵

 アメリカは来週、利上げを実施する可能性が高くなっている。ただし、来週15、16日の金融政策決定会合(FOMC)で0.25%の利上げが行われても、それ自体はすでに市場で織り込み済みと思われる。利上げ実施だけでさらなる円安が進むとは考えられない。

 重要なのは、2016年にどのようなペースで追加利上げが行われるかだ。とりあえず、2回目の利上げ時期がいつかに市場の関心が集中するだろう。2016年の追加利上げについて、FRBがどのようなメッセージを出すか、それを受けて市場は追加利上げの時期をいつと読むようになるかが鍵だ。

 早い時期(2016年3月くらい)に2回目の利上げが行われるという見通しが広がれば、円安(ドル高)が進む要因になるだろう。2回目の利上げを実施する時期がかなり遅くなる(2016年9~12月)という見通しが広がれば、円安(ドル高)材料はいったん出尽くしとなり、一時的に円高が進む可能性も出てくる。

 来週のFOMCでFRBが利上げをするかしないか、今後の利上げについてどのようなメッセージを出してくるか、市場が固唾をのんで見守っている。

(2)日銀の追加緩和の有無も重要

 もう1つ重要なのは、日銀が追加緩和を実施するかだ。追加緩和の実施があれば、円安(ドル高)が進む要因となる。ただし、日銀はすでに大規模な量的緩和を実施中で、ここからさらに大規模な追加緩和を実施する余地はない。

 窪田氏は、小規模の追加緩和を実施する可能性もあると考えているという。内容にもよるが、規模が小さ過ぎると、追加緩和を実施しても、さらなる円安が進む要因とならない可能性もある。

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