- Community Cloudの現時点での評判は高い。Dow Brook AdvisoryのLarry Hawes氏によれば、Salesforceから「Sales Cloud」「Service Cloud」「Marketing Cloud」を購入する新規顧客の36%が、Community Cloudも同時に利用している。市場におけるSalesforceのプレゼンスの大きさと、これだけ利用されていることを考えると、Community Cloudは比較的短期間で市場のトップに躍り出る可能性が高い。Salesforceは製品を長く提供し続けることで知られているため、安定性や製品寿命を気にする企業にとっては、同社が製品を長く提供する方針を採用しており、SaaS業界でもっとも古くからサービスを提供している事実は魅力的に映るはずだ。
- Community Cloudでは実際に役に立つビジネスユースケースが重視されている。Salesforceは最近、Demandware、CloudCraze、Bigcommerceなどのベンダーとパートナーシップ関係を結び、Community Cloudにショッピングや電子商取引などの機能を統合した。顧客対応、製品開発、パートナーサポート、および営業支援などを含む、価値の高いビジネスユースケースをカバーするためのツールとしてコミュニティが成熟していくにつれて、Salesforceが今後、これらのユースケースを支援する機能をCommunity Cloudで提供する可能性は高い。
- オンラインコミュニティの導入プロセスの合理化。Salesforceは、コミュニティの設計と立ち上げにかかる時間を短縮することにも積極的に取り組んでいる。その目標は、コミュニティ開発プロセスの開始から、ビジネス価値の創出までの時間を短縮することだ。同社はこれを、導入と設定を簡単に行うことができるコミュニティテンプレートと、プロセスを加速するためのツールで実現している。その好例が、2015年冬にリリースされたサポートコミュニティテンプレート「Napili」だ。このテンプレートは、最小限の時間と手間で、ベストプラクティスを実装した効果的な顧客サポートコミュニティを立ち上げることを目的としている。Salesforceは経験豊富で大規模なパートナーエコシステムを持っており、Community Cloud上でソリューションを提供するパートナーが多いことも重要だ。パートナーは今後、Community Cloudプラットフォームにさまざまなビジネスユースケースや機能を追加していくものと考えられる。
Community Cloudには、他にも重要なポイントがある。IBMやMicrosoftなどの、主要なソーシャルソフトウェアメーカーは、主に企業の社内ソーシャル機能を提供することを重視しているのに対し、Salesforceは社内および社外の両方のコミュニケーションを取り扱うことで、市場リーダーの座を狙っている。
Community Cloudでは、利害関係者(顧客、ビジネスパートナー、および従業員)がその立場にかかわらずシームレスに取り扱われているが、この点は企業にとっては非常に融通が利きやすく、便利だ。従来のコミュニティプラットフォームでは、多くの場合、重要な機能が断片化してしまっている。多くの組織では、マーケティング部門と顧客対応部門が外向けのソーシャルチャネルを持ち、IT部門と人事部門はそれとは別に組織内向けのソーシャル機能を持っているが、これらの機能を連結して一貫性のある体験を提供しようという取り組みはほとんどない。実際、Community Cloudは、組織が持つさまざまなソーシャル関連事業を、一貫性のある1つのプラットフォームに統合できる可能性のある、数少ないエンタープライズ向けサービスの1つだ。
オンラインコミュニティに関わっている人は、このSalesforceの新たな取り組みがどのように進化していくかに注目すべきだ。Community Cloudは大変な勢いで普及しつつあり、世界でもトップクラスのSaaS企業に支えられているため、今後顧客体験戦略にコミュニティを活用しようとする組織や、古いコミュニティプラットフォームからの移行を検討している組織に導入されていく可能性が高い。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。