デル・ソフトウェアは12月2日、継続的データ保護(Continuous Data Protection:CDP)ソフトウェア「AppAssure」をPCサーバ「Dell PowerEdge」にプリインストールしたデータ保護アプライアンス「Dell DL」シリーズを日本国内でも販売すると発表した。
12月8日から提供する。中小規模の企業が主なターゲットで、アプライアンス化で20分以内でセットアップが完了するようになったとしている。米国では、AppAssureの販売実績の半数以上がアプライアンスという。
Dell DLシリーズの外観
AppAssure(Dell DLシリーズ)は、データを短い間隔でこまめにバックアップする手法によって、システム障害時のデータ損失を最小限に抑えるCDP製品だ。ストレージボリュームのイメージをブロックデータとして最短で5分間隔でスナップショットバックアップする。直前のバックアップからの増分だけをバックアップすることでバックアップにかかる時間を短く抑えた。
バックアップ対象の業務サーバやファイルサーバ側に、専用のエージェントソフト(Windows/Linux)を導入して使う。このエージェントが増分データだけを一定間隔でAppAssureのサーバ(Dell DLシリーズ)に転送する。5分間隔でバックアップした場合、AppAssureのサーバ側には1日に288個のリカバリポイントができる。データ復旧時には、保存済みのデータを組み合わせて、過去の任意の時点のデータを復元できる。
AppAssureのサーバ側では、送られてきたバックアップデータを重複排除、圧縮した後に内蔵ストレージに保存する(図1)。暗号化やレプリケーションの機能も備えており、外部のAppAssureサーバやクラウドストレージ(オブジェクトストレージ)にデータをコピーする使い方ができる。
図1:AppAssure(Dell DLシリーズ)の機能と仕組み
Dell デル・ソフトウェア システム・情報管理製品担当バイスプレジデント Brett Roscoe氏
AppAssure(Dell DLシリーズ)の背景として「バックアップ、リカバリに対するユーザーの要求が高まっている」と指摘するのは、Dell デル・ソフトウェア システム・情報管理製品担当バイスプレジデントのBrett Roscoe(ブレット・ロスコー)氏。「以前のバックアップは時間と手間がかかるものだったが、現在では短時間でバックアップできなければユーザーは我慢できない」(Roscoe氏)。提供される主な機能は以下の通り。
- Live Recovery:保護したデータにほぼ継続的にアクセス可能 Recovery Assure:バックアップするデータの整合性をチェックし、確実にリカバリ
- Universal Recovery:単一のファイル、メッセージ、データオブジェクトから、マシン全体(物理または仮想)、異種ハードウェアまで、あらゆるレベルの復元が可能
- Virtual Standby:仮想マシンに更新を継続的に送信し、プライマリマシンで問題が発生した場合は、同仮想マシンを起動
- Cloud Archive:静的データをMicrosoft Azure、Amazon S3、Rackspace、OpenStackベースのクラウドプロバイダーにアーカイブ
- 柔軟なレプリケーションシナリオ:ローカルサイトまたは災害復旧(DR)サイトにレプリケーション可能
- インライングローバル重複除外:バックアップストレージ容量の削減
デル・ソフトウェアが会見で紹介したAppAssureのユーザー事例では、AppAssure導入前は、40Tバイトのファイルサーバに対する日々のバックアップに7.5時間をかけていた。AppAssureを導入したら日々のバックアップが20分で終わるようになったという。
税別価格は、バックアップ間隔が5分ではなく60分になるなど機能面での制約がある下位モデル「DL1000」の場合、重複排除、圧縮後のバックアップ容量が2Tバイトで5年間の保守を付けて140万円。この場合、1日あたりの価格は約770円になる。下位モデルとは別に、機能面の制約がない上位モデル「DL4300スタンダード」と「DL4300ハイキャパシティ」も提供する。
デル・ソフトウェアでは、CDP製品のAppAssure(Dell DLシリーズ)以外にも、各種のデータバックアップ製品を揃えている。例えば、「vRanger」は、VMware仮想マシンのイメージをバックアップするソフト。「NetVault」は、汎用のデータバックアップソフト。「DRシリーズ」は、重複排除機能を備えたデータバックアップ専用のNASストレージだ。