――ビジネスユーザーが使える分析ツールとのことだが、高度な分析を求めるユーザーへの対応は? 使い勝手とのバランスをどうとっていくのか?
現在、セールス、サービス、マーケティングで定義したビジネスユーザーを優先している。だが、高度な機能を求めるデータアナリストや管理者などのユーザーがいることも理解している。まずは部門ごとにどのような分析のユースケースがあるのか、からみている。
例えばSales Waveでは、(高度な機能として)パイプライントレンドを提供する。これはLightning Reports & Dashboardsにはない機能だ。営業担当者はサマリービューで満足するかもしれないが、データアナリストはもっと深く分析できる。
アプローチとしては、静的なダッシュボードではなく、ユーザーが欲しいレベルに応じてダッシュボードをさらに探索できるというものだ。ダッシュボードのすべてが探索可能で、ドリルダウン、フィルタ、グループ化、別の指標を見るなど高度なユーザーが使いこなす機能にアクセスできる。
――となると、競合も変わってくるのか?
Wave Analyticsを発表した当時、BI大手と競合するつもりはなかった。
現在の状況は”共存”だ。顧客は増え、業種も規模のさまざまだが、既存のBIをリプレース(置き換え)しているというよりは、共存している。
営業サイクルは、まずは部門にアプローチし、その後2つ、3つと取引を拡大してユーザーを広げていっている。われわれの顧客にVerizonがいるが、既に「BusinessObjects」が入っている。なぜSalesforce.comのWave Analyticsなのかというと、多くのユーザーに分析を使ってもらいたいから、とのことだった。VerizonがすぐにBusinessObjectsを捨ててわれわれの製品を利用するかというとそうではないだろう。だが、今後われわれの製品が成熟して高度な機能が増えてくると、レガシーのBIベンダーに影響が出てくるかもしれない。
――今後の計画は?
まずは、Analyticsアプリの拡充。事前に構築されたダッシュボードにより、すぐに使えるものを増やしていく。簡単に利用できるアプリケーション設定ツールのようなものも用意する。データの量にもよるが、5分程度で設定ができるようなものを目指す。
(2016年2月からはじまる)次の会計年度では、Marketing Waveの発表も予定している。SalesとServiceはユーザーは多いがデータはそれほど多くなかったが、Marketingではユーザーは少ないがデータは大きい。これまでよりも複雑なものとなる。既に社内でマーケティング担当が使っており、評判は良いので期待してほしい。
次に、プラットフォーム側も拡充する。Analyticsアプリの構築を用意にするETLエディタのようなツールを増やす。
高度なユーザー向け機能も強化し、例えばチャートライブラリで提供するチャートの種類を増やす。現在はベーシックなものでビジネスユーザーには十分だが、アナリストはもう少し高度なチャートオプションが必要だと判断しているからだ。
これらに加え、“エクストラネット対応BI”として、自分たちの顧客向けに分析機能を提供したいという顧客のニーズにも応える。ヘルスケア、オンラインバンキングなどが分析機能を組み込んだアプリやサービスを展開できる。既に1社でパイロットが進んでおり、来年に発表したいと思っている。