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――ITと経営と事業部門の一体化が求められる背景とは。
グローバル化とデジタル化という2つの潮流があると思います。「グローバル化」という言葉が現在も経営戦略の話題に上りますが、これは何も日本以外の国も市場として見る、というだけの話ではありません。「デジタル化」が同時に進むことで、異業種も交えた戦いが始まっているという点がポイントです。
たとえば、かつてはA食品会社のライバルはB食品会社でしたが、今はプラットフォームを握るGoogleやAmazonの動きも視野に入れる必要があります。当然、海外進出においてもその市場性は国ごとにも違い、中国に至ってその違いは都市単位です。国内外、異業種の競合入り乱れる中で、未知への手がかりをつかんでいくという活動は、かつての「ベストプラクティスを導入すれば競争には負けない」という世界とは全く異なります。
「デジタル化」という意味では、テクノロジの進化でクラウドやモバイルが台頭し、さらにセンサの発展によりビジネスにおけるデータの持つ価値が急速に高まっています。多様化も進んでいますから、アセンブリ(組み立て作業)は避けられません。スマホだけでもApple、Androidがあり、それぞれセキュリティの認証の仕方も日々進化していきます。
マルチテクノロジを駆使して未知の市場で戦っていくためには、事業側とIT部門側が一体となって、自社のビジネスを変えていくことにスピード感を持って取り組まなければなりません。環境変化もテクノロジの進化も10年前とは比べものにならないスピードで進む今、悠長に3年もかけてシステムを導入し、終わったらまた事業から次の課題を聞いてプロジェクトを起こす、というような感覚で物事を進められる時代ではないのです。
――企業の体制や制度も大きく影響すると思うが。
そうですね。効率性を重視し、縦割り型組織で動いている日本企業では、プロジェクトという単位で物事を組み立て、評価していくという考え方を、組織・制度の設計思想に入れていません。予算も会計年度および四半期単位でコントロールされ、そこでパフォーマンスを評価します。そもそもプロジェクトとは、一定の期間において、ゴールに対してどれだけの投資をし、どれだけリターンがあったのか、という形で評価するものですが、そのように、組織や制度がそもそも作られていないのです。
たとえば新しい事業をたちあげて新市場に乗り込むためのIT投資をしようとする時も、予算はIT予算として計上され、IT部門の活動の結果として投資対効果を評価するのが普通です。IT部門はプロフィットセンターではないので、結果として、この予算は投資ではなく「コスト」として管理されることになる。
価値を生み出して「儲けるために何をどうするべきか」という視点で行っているはずの活動なのに、「いかにコストを抑えるべきか」という点に焦点が集まるわけです。しかし本来のプロジェクトにはこの考え方はなじまないし、これでうまくいくわけがありません。
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