統合密度が向上、管理性も高まる--Oracle DB最新ベータ版のメリットを見る

大河原克行 2015年12月07日 19時26分

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 日本オラクルは12月7日、リレーショナルデータベースの最新版となる「Oracle Database 12c Release 2(12.2)」(ベータ版)を発表したのに伴い、これによって実現される次世代データ管理アーキテクチャなどを解説。12月8日から都内で開催されるイベント「Oracle Cloud Days Tokyo」にあわせて来日した米本社データベースサーバ技術担当エグゼクティブバイスプレジデントのAndrew Mendelsohn氏が説明した。

 Oracle DB 12.2は、10月に米サンフランシスコで開催された「Oracle OpenWorld San Francisco 2015」で発表。すでに100社以上がベータテストを開始。これまで以上にクラウドへの移行を簡素化し、クラウドの規模に見合う統合密度と管理の俊敏性を確保しながら、データベースサービスを効果的に展開できるという。今後12カ月以内に製品版が投入されることになる。

Andrew Mendelsohn氏
Oracle データベースサーバ技術担当エグゼクティブバイスプレジデント Andrew Mendelsohn氏

 Mendelsohn氏は、「Oracleのデータベース事業が成功しているのは、時代の変化にあわせてデータベースを変化させ、最適なものにしてきたことにある。たとえば、パブリッククラウドの広がりにあわせて、クラウドのために設計した製品へと進化させた。クラウド時代には、サービスの大きさにあわせて拡張したり縮小したりといったことも必要であり、また、多数のデータベースをひとつで管理するなど、コストの面でもメリットを提供できなくてはならない。これを実現したのがOracle DB 12cであり、新たなリリースでさらに進化を遂げた。クラウドに向けたエンタープライズクラスの最適なデータベースになる」と位置付けた。

 また、「(運用管理ツール)Enterprise Managerを拡張することで、ひとつの管理コンソールでオンプレミスとクラウドのデータベースを管理できる。セキュリティでは、Oracleが暗号鍵を持つのではなく、顧客が管理する、あるいはOracle Key Vaultで管理するといったこともできるほか、監査証跡も提供する。これによりハイブリッドクラウドをセキュアにできる」などと語った。

プロセッサでSQL

 Oracle DB 12.2は、従来にはない規模での統合、分離できるという。コンテナあたりのプラガブルデータベース(PDB)が252から4096に増加。CPUとI/Oの管理に加えて、メモリリソースの優先順位を付けるメモリ管理ができる。

 PDBのホットクローンによるテストマスターの即時作成が高速化されている。PDBのリフレッシュでシンプルな操作で最新データへの同期のほか、PDBリロケートでは、ダウンタイムなしでオンラインでのテナント再配置を可能にするという。

 PDB間でのアプリケーションのオブジェクトを共有できるようになっている。簡素化された管理体系のもとで、アプリケーションコンテナへの更新を簡素化したほか、すべてのアプリケーションに最適化できる環境を実現。「SaaSでもマルチテナントを活用したいという要望にも対応している」という。

 そのほか、Oracle DBのデータを保護、複製するための機能である「Active Data Guard」でIn-Memoryが稼働することで本番系データベースに影響がなく、リアルタイムに分析できるようになることに加えて、スタンバイ中のデータベースのリソースを生かした生産性の向上、本番系データベースとは異なるデータのポピュレートも可能にするという。また、「Oracle Sharding」で可用性を高めるためのアーキテクチャ「Maximum Availability Architecture(MAA)」を拡張している。

 最新版のRISCプロセッサ「SPARC M7」では、ソフトウェアの機能をプロセッサに埋め込む技術アプローチ「ソフトウェアインシリコン」を拡張して「SQLインシリコン」を実現しているという。データベースでのジョイン処理が3倍、JSONの処理では60倍の高速化を達成していると説明。「今後、さらに性能を高めていくことになる」と述べた。

 Mendelsohn氏は、トランザクション中心のデータベースとデータウェアハウスなど参照が中心となるデータベースの統合基盤「Big Data Management System」に言及。その中で現在はグラフデータモデルへの関心が高まっていることを指摘した。「(地理空間分析機能の)Spatial Analysisなどに加え、12.2では、Social Network Analysisの機能を新たに追加した」などとした。

 Mendelsohn氏は「Oracleがデータベースに関するクラウドサービスを開始したのはわずか1年前。だが、Exadataを活用することで最高のパフォーマンスを持ったクラウドサービスを提供するとともに、開発者に対する無償提供を含むエントリレベルから、最大級のミッションクリティカルデータベースのワークロードまで対応できる環境を実現している」と優位性を解説した。

 同氏はまた「データベースの運用コストの60%以上は人件費が占めている。クラウドプロバイダーや企業は、多くのデータベースを管理するための工夫を凝らしている。Oracle DB 12cでは、マルチテナント化で管理を簡素化し、CAPEX(設備投資費用)とOPEX(運用費用)を半分に削減できる」と語った。

 具体的な事例として、ライオンでは、Oracle Database 12cへの移行とデータベース専用機の最新版である「ExaData X5」への更改でオールフラッシュ環境の実現による性能向上、マルチテナントの採用による運用の効率化などを実現しているとした。

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