杉原氏は「今年から『クラウドのチカラ』をキーワードに掲げた。POCOにより、わかりやすくメッセージを伝えたいと考えている。昭和生まれの人間が“ポコ”というのは恥ずかしいが、みなさんと一緒にPOCOムーブメントを体感していきたい」と主張。同社のクラウドを活用したPOCOコンテストを開催したことも紹介。これらの成果なども会期中にセッションを通じて紹介するという。
壇上でHCM、ERP、PaaSを実演してみせ、「セールスフォースとはどこが違うのか」「価格は高くないのか」「導入までに時間がかかるのではないか」と杉原氏が質問。同社のクラウド導入のハードルが低いこと、すぐに成果を生み出せることを強調してみせた。

日本オラクル 専務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 下垣典弘氏

KDDI ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部 事業企画部長 山崎雅人氏

バルス 管理本部 財務経理部長 江川毅芳氏

マツダ ITソリューション本部 インフラシステム部長 松岡正樹氏

日本オラクル 執行役 副社長 クラウド・テクノロジー事業統括 三澤智光氏
「クラウドを使って“こんなに喜んでもらった、こんなによいことがあった、そんな使い方があったのか”といった事例をもっと集めて日本全国、世界中にアプリケーションを配信したい。YouTubeでも紹介していく」としたほか、POCO Clubの会員を募集。全員にマグカップをプレゼントすることなども紹介した。
600近いSaaSを提供
専務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括の下垣典弘氏は、同社が置かれたクラウド市場での立場を説明。下垣氏は「Oracle Cloudは、CX、HCM、ERP/SCM、EPM、マーケットプレイスという5つのカテゴリから600近いSaaSを提供している。どこからでも、ひとつからでも始められるのが特徴である。そして、SaaSとPaaSが連携することも特徴である」と解説した。
「Oracleが考えるモダンクラウドには、コンプリート、データドリブン、パーソナライズ、コネクテッド、セキュアという5つの優位性がある。特にセキュリティはワールドクラスのセキュリティとコンプライアンスを実現。データベースの会社であるOracleは常にデータを守ることに力を注いできた。そこに強みがある」(下垣氏)
同氏はまた「日本は少しずつクラウドを開始しようしているが、海外では競争力を高めるために一気に立ち上げようとしている点を捉えておくべきだ」などとした。
スピードに追いつくにはマイクロサービス化
下垣氏によるユーザー企業との対談セッションには、KDDI ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部 事業企画部長の山崎雅人氏が登場した。山崎氏は「グローバルスタンダードの製品にどう価値をつけて販売していくのかという課題がある。また、日本の企業が海外企業と戦うための生産性も備えなくてはならない。短期間に、競争力を上げるために“CPQ(Configure, Price, and Quote) Cloud”の導入を決定した。当社は通信を安心、安全にクウラドを提供していきたいと考えており、99.999%の稼働率を実現している」とメリットを説明した。
インテリアや雑貨などを販売する「Francfranc」などを展開するバルスの管理本部 財務経理部長の江川毅芳氏は、「ブランドが増え、海外展開を進めていく中で管理が複雑化。その課題解決のために“PBCS(Planning and Budgeting Cloud Service)”を導入した。1カ月という短期間で導入でき、3年間で40%のコストを削減できた。データ処理が高速化し、セキュリティ面でもメリットがある」と述べた。
PaaSでの導入事例としては、マツダのITソリューション本部 インフラシステム部長の松岡正樹氏と、日本オラクルの執行役副社長クラウド・テクノロジ事業統括の三澤智光氏が対談した。
マツダの松岡氏は、「マツダは2012年から構造改革に取り組んでいる。その中でEBS(E-Business Suite)を採用してきた。インメモリで高速にデータを処理したいという場合にも、短時間に低コストで、それを構築できる環境が実現されている。テストの場合など一時的に多くのリソースを活用したい場合にはPaaSは有効である。今の時代はこうした仕組みを活用しないと競争には勝てない」と語った。
日本オラクルの三澤氏は「今から10年後には新規アプリケーションにおいて、SaaSを利用する割合は85%に達する。そうした時代に向けて準備をしておかなくてはならない」と将来に目を向けた。
「では、SaaS時代に求められるプラットフォームとは何か。ビジネススピードに追随するためには、すべてを作るのではなく、つないで使うシステムにすべきである。ひとつひとつがマイクロサービス化され、APIとAPIをつなぐことで俊敏性を持ったシステムを構築できる。アジリティの高いSaaS追加開発、分散したシステムの運用管理、エンタープライズレベルのプラットフォーム、さまざまなサービスの融合が今後のPaaSに求められる要件になる。Oracleはこうした要件を満たしたPaaSを提供できる。そして、オンプレミスとクラウドを行き来できる環境を提供している唯一の企業がOracleである」(三澤氏)

オラクルが提供するSaaS群