日本株展望

株主優待目当ての投資は問題か?

ZDNet Japan Staff 2015年12月09日 10時46分

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 8日の日経平均は、205円安の1万9492円だった。朝方に7~9月GDP改定値が発表され、マイナス成長からプラス成長に修正されたことは好材料だが織り込み済みで、利益確定売りが増えた。来週に注目イベント(アメリカの9年半ぶり米利上げが予想されていること)を控え、今週は不安定な値動きが続きそうだ。下がった時は買いのスタンス継続でいいと考えられる。

 話題は変わるが、「株主優待目当ての投資」をどう考えるべきか多数質問をいただいている。今回と次回にかけて、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏が、株主優待投資について解説する。

ものくるる友は、よき友?

 鎌倉時代に書かれたエッセー集「徒然草」では、「よき友」として最初に「ものくるる友」が挙げられている。日本に、贈り物を喜ぶ文化が古くから根付いていることがうかがい知れる。その流れを受けてか(?)、日本には「株主優待制度」という、欧米には存在しない特殊な制度がある。上場企業が株主に感謝して贈り物をする制度だ。

 本来、株主には配当金を支払うことで利益還元するのが筋だ。ところが、日本の個人株主の一部に、お金(配当金)をもらう以上に贈り物(株主優待)を喜ぶ風潮があることから、株主優待という制度が存続している。小売業や食品業では、個人株主がそのままお客さま(会社製品の購入者)になることもあるので、広報宣伝活動の一環として自社製品を優待品に積極活用する企業が多数ある。

 優待投資には、優れた側面と困った側面がある。今日はまず、優待投資の優れた面を説明しよう。

(個人投資家にとって)優待投資のすぐれた面

 以下の(1)と(2)が挙げられる。

  1. 株主優待制度は個人株主を優遇する内容となっていることが多い。
  2. 短期的な株価変動に一喜一憂せず、じっくり長期投資ができる。

 それでは、それを詳しく説明しよう。

(1)株主優待制度は個人株主を優遇する内容となっていることが多い。

 機関投資家には、株主優待制度に反対しているところが多数ある。ほとんどの株主優待制度が、小口投資家(主に個人株主家)を優遇し、大口投資家(主に機関投資家)に不利な内容になっているからだ。

 以下は、12月決算のアサヒグループHLDG(2502)が予定している優待内だ(優待内容は変更されることもあるので、常に最新の情報を確認していただきたい)。

アサヒグループの優待内容


毎年12月31日現在、当社株主名簿に氏名が記載されている100株以上保有の株主
(出所:同社HP)

 毎年12月末に株主名簿に記載されている株主に以下の優待商品を送る(注:12月末の株主名簿に登載されるためには12月25日までに同社株を購入する必要がある)。

◆対象となる株主

 上記の優待内容から、100株あたり、どれだけの金額の優待を受けられるかを計算したのが、以下の表だ。


(出所:楽天証券経済研究所が作成)

 ご覧いただくと分かる通り、100株当たりの経済メリット享受額は、最小単位(100株)を保有する株主が1000円で最大だ。保有株数の大きい株主は、100株あたりの優待受け取りが小さくなる。つまり、株主優待制度は、小額投資の個人株主を優遇するものであることがわかる。

 個人株主数を増やしたい上場企業は、優待制度を積極活用して、個人株主にアピールすることになる。

(2)短期的な株価変動に一喜一憂せず、じっくり長期投資ができる。

 株式投資では、良い会社に長期投資すると大きなリターンが得られる。ところが、毎日株価を見ていると、じっくり長期投資できなくなることがある。株価が上がってくると、利益確定したくなるのが人間心理だ。「じっくり持っていれば株価が2倍になっていたのに、たった10%上がったところで売ってしまった…」のようなことも、起こるわけだ。

 株主優待目当てで株式投資している人には、いい意味でも悪い意味でも日々の株価変動をあまり見ない人が多いようだ。

 したがって、良い会社に優待目当てで投資していると、気が付かないうちに株価が大きく上昇していたということもある。たとえば、ここ2~3年、食品セクターに株価が大きく上昇する銘柄が多数ある。

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