CIOが「DMP」を理解すれば「攻めのIT」を実現できる - (page 2)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2015-12-22 16:02

――DMPによって実現できることとは。

 直接的には、大きく「マーケティングROIの改善」「より詳細なOne to Oneマーケティング(パーソナライズやオムニチャネル対応など)の実現」「マーケティング全体の責任の所在の明確化と可視化」の3つのメリットがあると考えています。

 「マーケティングROIの改善」によるメリットは、DMPによってマーケティング施策の実行から施策実行による顧客の反応をデータとして一元管理し、オンライン/オフラインともに、各集客施策のより精緻な費用対効果が把握できるようになることです。これによって各マーケティング施策の投資対効果を最適化していくことができます。

 たとえば、ウェブ広告などのオンライン集客施策では、現状では各集客施策から獲得したCV(コンバージョン)数や売り上げは測定できているものの、その獲得した顧客はどんな顧客なのか――つまり顧客生涯価値(LTV)観点での良い・悪いについては別のデータベースとして存在していて、相互連携できていないという場合が多くなっています。

 この現状から、各集客施策の投資対効果判断は、見た目上の顧客獲得単価(CPA)や広告費用対効果(ROAS)のみに頼らざるを得ず、見た目上のCPAはよくても、そこから獲得している顧客の質がどうなのか、という観点では判断ができないのです。

 プライベートDMPによって、各集客施策のCPA/ROASだけでなく、各施策によって獲得した顧客のLTVなどまで把握できるようになります。それによってCPA×獲得顧客の質という2軸で正確な投資判断が可能になり、マーケティングROIの向上を実現できます。

 「より詳細なOne to Oneマーケティング(パーソナライズやオムニチャネル対応など)の実現」については、アプリケーションやサービスを使うユーザーの行動を簡単なストーリーに仕立てる「カスタマージャーニー」に基づくシナリオ設計とマーケティングの自動化により、各顧客の属性や趣味趣向、行動に応じて、販売チャネル間をスムースに、顧客ごとに個別化されたコミュニケーションが可能になります。

 また、パブリックDMPによって、自社の会員情報や購買データだけでなく、サードパーティが保有するデータなども統合され、より精緻に各顧客セグメントのカスタマージャーニーを把握することができます。それに基づいて、顧客一人一人に対応したマーケティングシナリオの設計ができるようになるのです。

 プライベートDMPでは、データを蓄積するだけではなく、あらかじめ判定基準を設定することで、各顧客がどのセグメントに属するかの判断を自動化することができます。こうした機能とマーケティングオートメーション(MA)といったツールを組み合わせることで、オンライン/オフラインなどチャネル横断で、シームレスかつパーソナライズされた顧客体験を提供するためのマーケティング施策につなげていくことができるのです。

 最後に、「マーケティング全体の責任の所在の明確化と可視化」についてです。これまでのマーケティング予算は、前年踏襲型であったり、一律コストカット型でどちらかといえば「コスト」として捉えられがちでした。

 しかし、マーケティング施策のKPIやROIをデータとして可視化し、科学的根拠に基づいて管理・運用できるようになることで、ビジネス成長に欠かせない「投資」という観点で捉えることができるようになります。これによって、企業におけるマーケティングの役割はより明確化していくことになります。

 ただ、これまで説明してきたようなことを実現することはマーケティング組織だけでは難しく、既存の組織の枠組みを超えた全社的な連携が欠かせません。特にCIOとCMOが連携を強化していくことが必須です。


目指すべきCMOとCIOの協業のあり方(アクセンチュア提供)

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