開発者向けにファブリックアタッチメモリのエミュレーションを公開
このようなデータ主導のコンピューターアーキテクチャを持つことは、HPEが掲げる4つの変革エリア「変革」「保護」「生産性向上」「エンパワー」に大きな進化をもたらす。たとえばエンパワー。「データ主導の組織により、大量のデータから洞察をすぐに得られる。まったく新しい種類のアプリケーションが可能になる」とFink氏。
例として挙げたのが、グラフ分析だ。飛行機が予定より早く到着、しかし飛行機がゲートに入れずとまったままということがある。これはさまざまな要因が複雑に絡み合って起きている。操縦士、客室乗務員、機材、貨物積み下ろし、地上ハンドリング、気象観測などを1つのグラフにして分析できれば、より迅速に変更管理できるとFink氏。
さらには、世界中の空港がネットワークを作れば、ある空港で雪が降るとどうなるのか、履歴データを分析して予測ができる。実際にイベントが起こった後に対応するのではなく、予測して得たソリューションを微調整すればいいだけだ。
Fink氏はこれを”事前のコンピューティング”とする。what-if分析を無限に行うことができれば、問題が起こる前に解決することも可能になる。「これが企業のビジネスにどのような影響をもたらすか、考えてみてほしい」とFink氏。HPE Synergy、そしてThe Machineを通じて、「われわれはエンタープライズを将来も使い続けられる”Future Proof”にする」と述べた。
速度とパワーを利用して、複雑な問題が起こる前に解決できる
The Machineは遠い将来ではない。Fink氏によると、プリント基板、プログラマブルシリコンなどの部品がそろいつつあり、最初は100Gbの光ファイバを利用するという。そして、開発者向けに「Fabric Attached Memory」としてメモリエミュレートパッケージを公開したことも発表した。
GitHubのFabric Attached Memoryのページでは、「ハードウェアがアベイラブルになるのは2016年以降」となっている。開発チームはThe Machineの推進に当たってオープンソースモデルを利用する意向で、OSやプログラミングツールなどもオープンソースとして公開することが予想される。
The Machineの商用化はいつか?Fink氏は具体的には触れなかったが、「The Machineは現実だ」と会場に向かって自信を見せた。会場の説明員によると2020年が一つのマイルストーンとなっているとのことだった。
展示会場内にあったHewlett Packard Labsエリアでは「The Machine」の展示があった。これはフォトニクス技術に関するもの。
光のメリットは電力と速度だけではない。10Gbpsのイーサネットケーブルを80本束ねた銅線(下)と1本2.4Tbpsの光ファイバ(上)ではすっきり度がこんなに違う。
The Machineのハードウェアプロトタイプ
The Machineのアーキテクチャ。共通のユニバーサルメモリにSoCからアクセスする。