ウェブ、電話、実店舗……。顧客との接点が複数になり、良い話も悪いうわさもソーシャルネットワークを通じて瞬時に伝わる時代に、顧客コンタクトセンターはどうあるべきか――コンタクトセンター向けソフトウェア大手のジェネシス・ジャパンは次のコンタクトセンターのキーワードを「CX(Customer Experience、顧客エクスペリエンス)」だとしている。
従来のコンタクトセンターの概念を超え、顧客と一緒に模索する場として、本社内に「ジェネシス CX(カスタマーエクスペリエンス)センター」を開設する。12月9日、都内でCXセンターのオープンに合わせ、今後の戦略や市場の方向性について同社幹部が話をした。
ジェネシス・ジャパンの田中良幸氏
ジェネシス・ジャパン代表取締役社長の田中良幸氏は「キーワードは顧客体験のCX、サブのキーワードはオムニチャネル」だと語る。背景にあるのはウェブはもちろん、モバイル、ソーシャルなどの技術トレンドだ。
市場の方向性とジェネシスの戦略について説明した米Genesys Telecommunications Laboratoriesの社長兼最高経営責任者(CEO)、Paul Segre氏は、電話が中心のコールセンターからマルチチャネルのコンタクトセンターへの移行が進んでいるが、「個々のチャネルが統合されていなかった」とする。
Genesysが目指すのは統合された顧客体験の提供だ。「音声通話、チャット、ウェブサイトにおける顧客の行動をサポートする」とSegre氏。例えば、顧客がウェブサイトで訪問した後に、コールセンターに連絡があった場合、担当者はその情報を基に対応することが可能になる。
2つのセッションは関連しており、リンクしている。「インタラクションとタッチポイントが一緒になることで、顧客エクスペリエンスが改善する」という。これはコールセンター側の業務効率化にもつながる。チャット、電話などの間の反復作業が減るからだ。
Segre氏はCRMとCXは同義ではない点にも留意した。「GenesysのCXとは、エンゲージメントのシステムだ」とSegre氏。CRMは社内向けの顧客記録のデータベースであるのに対し、CXでは顧客企業は自社顧客とインタラクションをリアルタイムで管理できると違いを強調した。
これにあたり、Genesysは製品でプロセスリエンジニアリングを行った。「テクノロジとCXのベストプラクティスを伝えるコンサルティングも提供する。技術とコンサルの両輪により、顧客の成功を約束する」とSegre氏は語る。
日本はアジア地区で2番目の市場で、グローバルとローカルのパートナーを通じて強化していくという。グローバルの例としてはIBM、Microsoftの「Skype for Business」、ローカルの例ではNTT、KDDIとクラウドで提携していることを挙げた。
Skypeで登場した米GenesysのPaul Segre氏