Elon Musk氏、Sam Altman氏、Peter Thiel氏というIT業界の著名人らから10億ドルもの寄付を得て、人工知能(AI)の推進を目的とする研究組織OpenAIが米国時間12月11日に創設された。AIは、この技術を搭載する機械が人間にどう影響するかという懸念から、有望ながら論争の的にもなっている分野だ。
OpenAIは発表の中で、「人間レベルのAIがどれだけ社会に貢献できるかを推測することは難しく、また、それが正しく構築または利用されなかった場合に社会にどれだけの損害を与え得るかを想像することも同等に難しい」と述べ、「人間レベルのAIが、いつ実現可能なレベルに達するかを予測するのは困難だ。そのレベルに達したときに、良い成果を自己利益よりも優先できる強力な研究機関が存在することが重要となる」とした。
Musk氏、Altman氏、Thiel氏がAIに関心を寄せていることは重要な意味を持つ。3氏は既に未来の構築に関わっているからだ。Musk氏は、1998年にPayPalを共同創設してモバイル決済の提供開始に貢献した。同氏は現在、電気自動車メーカーTeslaと民間宇宙開発企業SpaceXの最高経営責任者(CEO)として現代の輸送に多大な影響を与えている。Altman氏はY Combinator社長として、Airbnb、Dropbox、Twitchなどの新興企業設立を支援した経験を持つ。シリコンバレーの著名な投資家であるThiel氏は、PayPalの共同創設者で、Facebookの初期の投資家でもあった。つまり、彼らが関わる技術は大きく成長する傾向にある。
「非営利組織として、われわれの目標は、株主ではなくすべての人々にとっての価値を築き上げることにある」と発表には記されている。また、研究者らが独自の研究成果を広く共有することを推奨し、同組織が取得するすべての特許を世界に共有する予定だという。
OpenAIを統括するのは、Googleの研究サイエンティストIlya Sutskever氏で、同氏はOpenAIの最高技術責任者(CTO)および研究ディレクターを務める。Musk氏とAltman氏は共同会長に就任する。
TeslaのCEOであるElon Musk氏は、AIを搭載した機械が人間の手に負えなくなることについて警鐘を鳴らしてきたうちの1人だ。
提供:Patrick T. Fallon/Reuters/Corbis
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。