IBMはここ何年もの間、モノのインターネット(Internet of Things:IoT)に取り組んできているが、今後30億ドルの投資によって、同分野にさらに注力しようとしている。
この「308 GTi」を製造しているPSA Peugeot Citroënは、IBMのIoTパートナーの1社だ。
提供:PSA Peugeot Citroën
IoTという言葉は一部の人々にとって、まだ目新しいものだ。日常生活で使用するあらゆるモノを接続することで、新たなデータストリームを生み出し、それによって新たな収益の流れさえも生み出すというのは、比較的新しいトレンドに思えるかもしれない。
しかし、それ以外の人々にとって、IoTは別の名前でかなり以前から継続して取り組まれているものでしかない。例えばIBMは何年も前から、ユビキタスコンピューティングやパーベイシブコンピューティングといったコンセプトに基づいて製品やサービスを提供してきている。そして同社は3月に、長年の取り組みを土台とし、IoT部門を新たに設立するために4年間で30億ドルの投資を実施すると発表した。
この時には、The Weather CompanyのBtoB部門との提携に加えて、垂直型のIoTソリューションを設計、提供するためのアナリティクスサービス「IBM IoT Cloud Open Platform for Industries」や、同社のPaaS「IBM Bluemix」の一部として提供されるIoTサービス「IBM Bluemix IoT Zone」といった新製品も発表された。
そして9月には、IoT部門が設立され、同部門のゼネラルマネージャーにThomas Cook Groupの元最高経営責任者(CEO)であるHarriet Green氏が就任するとの発表があった。
IBMは10年以上も前から、マシンツーマシンといった先駆的な言葉を使用してIoTに取り組んできていることを考えた場合、この新部門を今回設立した理由はどこにあるのかという疑問がわいてくるはずだ。
IBMの著名なIoTエンジニアAndy Stanford-Clark氏によると、新部門の設立は「IBMがIoTに対して真剣に取り組んでいるという明確なメッセージを発信する」ための手段なのだという。
「IoTは当初、(IBMの)アナリティクス部門で取り組まれていた。その後、ちょっとした組織再編があり、専属の部門が設立された。つまり、『われわれは本気だ。これまでやってきたことを続けていくだけではない。これはわれわれにとって重要なことなのだ』という姿勢を明確にしたわけだ」(Stanford-Clark氏)