デジタルコンテンツに特化する
一方、携帯電話向けモバイルゲームは、中国市場のニーズから日本企業が進出するパターンが多いという。その1つに、「ドラえもん」の中国展開における日本企業と中国企業の契約締結の支援がある。
「(こうした案件から)国境を最も越えやすいのがデジタルコンテンツ」と気付いたクララオンラインは、3年前からゲームなどデジタルコンテンツに特化し、中国進出する日本企業にビジネスコンサルティングから提供する。「商習慣や意思決定などビジネスプロセスが異なり、中国市場を簡単に開拓できるわけではない」(家門社長)。
ECサイトの撤退から分かったのは、「商習慣を一致させるのは、あきらめること」(同)。こうした失敗を含めた数多くの経験を生かし、ビジネスプランの作成や協業するパートナー探し、外資規制の対応などを支援する。もちろん、クラウド運用などへの広がりを期待している。
こうしたビジネスコンサルティングは、得意なインターネット関連に絞り込んでいる。「中国のインターネットなら、クララオンラインだろう」と言われるよう信頼を獲得するために、「中国のインターネットに関する知見を提供し、顧客の中国進出に協力する」(家本社長)。
中国におけるビジネスコンサルティングの実績は着実に増えている。「モバイル広告事業のパートナー選定支援」や「IaaS事業化検討支援」、「ライセンス関連のアドバイス」などで、M&Aなどの提携支援に踏み込むこともある。コンサルティングチームは「コールセンター市場」や「映像コンテンツ市場」、「モバイル医療市場」「楽曲権利保護の現状と輸出手続き」などといった中国市場のレポートも発行する。
家本社長は中国市場の成長に期待し、「人民元で稼ぐことが、1つのマイルストーン」と考えている。それが実現すれば、アジアにおけるビジネス展開を可能にする力が持てたことになるからだろう。ソリューション事業とコンサルティング事業の2本柱で、アジア市場での地位を確保した企業になる日は近づいている。