4.Windows 10とハイブリッドPCがPCの救世主として期待を集める(Steve Ranger、英TechRepublic/ZDNet編集長)
厳しい評価を受けた「Windows 8」に比べれば、「Windows 10」に対する評価は比較的良好で、初期の導入状況はWindows 8だけでなくWindows 7も上回っている。ただしこれは、消費者に関してはそれほど驚くことではない。なぜなら、ほとんどの消費者はWindows 10を無料ダウンロードで手に入れているからだ(しかも導入は非常に容易だ)。Microsoftの無料配布が功を奏したことは不思議ではない。しかし、大企業も予想より早くWindows 10に移行する可能性が高く、2016年は大企業にWindows 10が普及する年になりそうだ。
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しかし、まだ課題は残っている。Windows 10はデスクトップ市場では成功しているが、Microsoftはそれ以上の成果を必要としているからだ。大きな成長が見込まれるのはスマートフォン市場(ある程度はタブレット市場も)だが、同社の努力にもかかわらず、Windowsスマートフォンは消費者の心を掴めていない。
また、Windows 10は苦戦しているPCの販売にもそれほど好影響を与えていない。従来のバージョンとは違い、無料アップグレードを提供したことは、新規PCの購入を喚起するのには役立っていない。今では、PCは消費者が日常的に利用する多くのデバイスの中の1つにすぎなくなっている。ビジネスユーザーであればPCが第一の選択肢になるだろうが、一般消費者はスマートフォンやタブレットに移行して久しい。いまだに部屋の片隅に埃をかぶったPCが置いてあることが多いとしてもだ。しかし、2016年にはハイブリッドデバイス(「Surface Book」など)が一般消費者のメイン層に訴えかけ、リバイバルが起きるかも知れない。PCは力を失っているが、まだ死んだわけではない。
5.進む合併--競争に規模は必要か(Larry Dignan、米ZDNet編集長)
2015年中に、取引している企業がより大きな企業に買収されるか合併された経験をしたという読者が多いのではないだろうか。もちろん、大手IT企業がクラウドサービスのラインアップにある穴を補完して、顧客にフルスタックを提供できるようにするための、過去にもよく見られた買収もあった。
しかし2015年に注目を集めたのは、何と言ってもDellとEMCの合併だろう。テクノロジ業界の2つの大企業が合併したことで、プライベートクラウド界に他に並ぶもののない規模の企業が登場したことになる。DellとEMCは、大企業がクラウドとデータセンターを構築するために必要な要素は何でも提供することができる。
この合併にはいくつかのポイントがある。DellとEMCの合併は規模が大きく、今後統合のための作業が非常に多く必要になる。一方、エンタープライズ向け企業として確固たる地位を築いていたVMwareは、サーバメーカーの子会社という位置づけになってしまい、今後については不安の声も上がっている。EMCとDellの合併は、理屈の上ではうまくいく可能性があるように見えた。しかし問題は、今後実際に商品を顧客に売ることができるかどうかだ。
別の問題もある。多くのテクノロジ業界の大企業(Hewlett-Packard、Citrix、IBMなど)は、製品ラインアップの大幅な見直しや事業の選択と集中などを進めており、Hewlett-Packardの場合にはHP Inc.とHewlett Packard Enterpriseの2社への分割も行った。
顧客にとってどちらのモデルがよいのかは、将来にならないとわからない。テクノロジ業界の振り子は、小さくてスピードのある企業と、大きな企業の間で揺れている。そのどちらが勝つかは、その時代とその時代の考え方次第だ。合併や買収によって規模を大きくするのがいいか、小さくするのがいいかの結論はまだ出ていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。