生活協同組合連合会コープネット事業連合(コープネット)は、会員生協が行う宅配事業向け在庫管理システムのデータベース製品をリプレースした。ライセンスや保守のコストを約10分の1としつつも、以前のデータベース製品と同程度の開発工数で、性能・可用性なども何ら問題なく安定稼働を実現した。製品を提供したアシストとエンタープライズDBが12月15日、発表した。
コープネットは、関東、信越の会員生協(コープみらい、いばらきコープ、とちぎコープ、コープぐんま、コープながの、コープにいがた)とコープネットの子会社で構成する生協の連合会。
主力事業の1つとして宅配事業「コープデリ」を手掛けており、1都7県に点在する119の配送センターから約5000台のトラックで、食品を中心とする約4000品目の商品を組合員の自宅まで日々届けている。「コープデリの夕食宅配」では、高齢者世帯を中心として夕食用の弁当を週5日宅配しており、配達食数は週5日あたり15万食超(2015年6月現在)におよぶ。
新たに採用されたのは、オープンソースの「PostgreSQL」をエンジンとし、性能、可用性、連携、運用管理などのエンタープライズ用途で必要な機能が実装されたRDBMS「Postgres Plus」(開発元:EnterpriseDB Corporation/エンタープライズDB)。
コープデリ事業における物流を支える発注商流統合システムは、これまで商品企画と発注の2つのサブシステムで構成されていたが、2013年のシステムリプレースの際、それまで発注システムに含まれていた在庫管理機能(入出庫、在庫引当、追加発注、日次棚卸処理、週次の廃棄高集計、月次棚卸処理、実廃棄処理など)を独立した在庫管理システムとして分離し、仮想化環境でシステムを構築することを前提に、新規でデータベース製品を検討することとした。
そこで複数のデータベース製品を比較検討し、開発者が持つOracle Databaseのスキルをそのまま活かすことができ、高いOracle DB互換機能を有していること、エンタープライズ利用のために強化された様々な機能と商用サポートを評価し、Postgres Plus Enterprise Editionを選択した。
コープネットでは2013年12月から順次、物流の全13拠点におけるシステムを新たな在庫管理システムへ移行し、2014年6月に全拠点の移行を完了、本格運用を開始している。
Postgres Plus Enterprise Editionによる導入効果は以下の通り。
- 2014年6月の運用開始から現在まで安定稼働を続けており、性能、可用性ともに全く問題なく在庫管理の処理が可能
- 仮想化環境でデータベースを稼働させているため、従来採用していたDBMSと比較してライセンスや保守のコストは約10分の1になった
- 開発者がOracle DBのスキルを流用できたため、Oracle DBを利用した開発プロジェクトと比較しても工数が増えることなく、同程度の工数で開発が可能に
コープネットでは今後、Postgres Plus Enterprise Editionのさらなる性能検証を実施し、発注商流統合システムの他の2つのサブシステムである商品企画と発注のシステムについても、Postgres Plus Enterprise Editionで再構築することを検討している。