IDC Japanは12月15日、国内PaaS市場の2014年の分析と2019年までの予測を発表した。2014年の国内PaaS市場規模は前年比45.8%増と急速に拡大し、336億4100万円となった。
PaaS市場は、クラウド専業ベンダーにとどまらず多くのITベンダーの注力分野で今後も高い成長が続くと期待され、2019年に当該市場規模は1038億円となり、2014年~2019年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は25.3%になると予測している。
国内PaaS市場 セグメント別 売上額予測、2014年~2019年(IDC提供)
IDCではPaaS市場を、「クラウドアプリケーションプラットフォーム」「クラウドデータサービス」「クラウドインテグレーションサービス」「クラウド開発/ライフサイクルサービス」の4つの市場セグメントに分類し、市場規模を調査している。
この市場セグメント別に見ると、クラウドアプリケーションプラットフォーム市場が232億2400万円(前年比成長率42.7%)、クラウドデータサービス市場が71億3700万円(前年比成長率61.9%)で、両市場がPaaS市場全体の9割を占める。
PaaS市場では、企業の情報系カスタムアプリケーションの基盤としての需要をつかみ、まずクラウドアプリケーションプラットフォーム市場が立ち上がったが、先行して拡大したIaaSとのインテグレーションでの活用やDWH向けのクラウドサービスの登場により、クラウドデータサービス市場が急速に拡大してきている。
2014年におけるPaaS市場のベンダーシェアは、1位がセールスフォース・ドットコム、2位はAWSだった。Force.comでいち早く市場に参入したセールスフォースが引き続き市場をけん引するポジションを維持している。
2位のAWS、3位の日本マイクロソフトはIaaSと連携しながらクラウドデータサービス市場で高いシェアを獲得している。日本IBM、日本オラクルなどの大手ソフトウェアベンダーもPaaS分野の取組みを強めている一方、ビッグデータ処理、IoT(Internet of Things)のバックエンドとしても有望視されており、市場への注目が高まっている。
同社ソフトウェア&セキュリティグループ マーケットアナリストの草地慎太郎氏は、以下のように分析している。
「ベンダーの新規参入が相次ぎ、SoE(Systems of Engagement)を活用したニュービジネスの提案は競争の度合いを増している。しかし海外と比較して相対的にニュービジネスに慎重な国内市場におけるユーザーの盛り上がりは十分とは言えない。顧客のシステム運用の効率化を支援するだけでなく、PaaSのような新しい技術を活用し企業の新規ビジネスを技術面からサポートする新しい形の提案が求められる」