日立製作所は12月17日、スマートフォンを用いたキャッシュカードレスの金融取引を実現する「日立モバイル型キャッシュカードサービス」を、国内の金融機関向けに同日より販売開始すると発表した。価格は個別見積もり、基本サービスの提供開始は12月17日で、営業店向け付加サービスと取引チャネル別(ATM/インターネット)付加サービスは2016年度上半期以降順次提供する。
日立では、同サービスをFinTech関連サービスの第一弾として提供するとともに、今後、国内外のFinTech関連企業との協業も推進。金融機関における新たなビジネスモデルの創造を支援していくとしている。
同サービスは、金融機関が発行するキャッシュカードの情報をスマートフォンに格納し、カードを携帯せずにATMなどでの取引を可能にするというもの。金融サービスの利用開始手続きの簡易化や取引の迅速化を実現し、利用者の利便性を向上する。
利用者は、金融機関が提供するスマートフォンアプリを使用して、現金の引き出しなど希望する取引内容を事前に登録し、営業店窓口やATMに設置された読み取り端末にかざすことで、取引を完了できる。なお、モバイル型キャッシュカードの情報はスマートフォン内の安全性の高い領域で管理し、不正なアプリケーションによる情報の搾取を防止するなど、高いセキュリティも確保。

「日立モバイル型キャッシュカードサービス」の概要図(日立提供)
「日立モバイル型キャッシュカードサービス」の主な特徴は以下の通り。
キャッシュカードレスでの取引を実現
キャッシュカードの情報をNFC対応スマートフォン(Android搭載端末)に格納し、モバイル型キャッシュカードとして利用できるようにする。これにより、金融機関の利用者がカードを携帯する必要がなくなり、スマートフォンによるキャッシュカードレスでの取引を実現。ローンカードなどにも対応できる。
このモバイル型キャッシュカードは、スマートフォン内の安全性の高い領域で情報を管理し、不正なアプリケーションや物理的な手段による情報の搾取を防止するなどして、高いセキュリティを確保している。
利用開始までの手続きの簡易化/期間短縮
従来のような郵送によるキャッシュカード発行では利用申し込みからカードの到着までに約1週間を要していたのに対し、モバイル型キャッシュカードの発行は、スマートフォン上での利用申請と専用アプリケーションのダウンロード、設定で完了する。金融サービスの利用開始手続きを簡易化し、利用開始までに要する期間を大幅に短縮させることができる。
窓口取引での伝票記入・印鑑使用が不要
営業店窓口での取引では、金融機関が提供するスマートフォンアプリに、入出金や振り込みといった取引内容を事前に登録し、窓口に設置されたNFC対応読み取り端末にスマートフォンをかざすことで実施可能。これにより、従来必要だった伝票記入や印鑑使用が不要となる。
ATMでの取引を迅速化し混雑を緩和
ATMでの取引時にも、金融機関が提供するスマートフォンアプリに取引内容を事前登録すれば、NFC対応のATMにスマートフォンをかざすことで取引が可能となる。利用者によるATMの操作が簡略化されるため、迅速な取引とATM利用時の混雑緩和を実現。
インターネットでのサービス利用を迅速化
インターネットでの取引も、モバイル型キャッシュカードが発行されれば、個別に利用申し込みをすることなく、迅速に開始できる。また、モバイル型キャッシュカードの情報を用いた本人認証により、簡単に残高照会などができる。