テクノロジで迫る沈没船の謎(3)--バルト海に眠る16世紀の軍艦 - (page 4)

Jo Best (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2015-12-31 07:00

 20年間にわたる捜索の結果、Ocean Discoveryはマルス号を発見した。しかし彼らは、この海域で沈没船探索を行っているのが自分たちだけではないという事実に気付いていた。人工衛星を利用した自動船舶識別装置(AIS)という機器を用いれば、近くの船舶の位置が分かるようになる。Ocean Discoveryは、水中調査ビジネスのライバルであるMarin Mätteknik (MMT)も近くの海域でマルス号を探し出そうとしていることを知っていた。そして、そのライバルらはあと3〜4日のうちに、すなわちOcean Discoveryが発見者登録を完了する前に沈没現場に到達しそうな状況だった。

 Ingemar氏は「われわれは彼らの注意をそらせようとした。彼らがAISでわれわれの動きを監視しているのは分かっていた」と述べ、「このため、沈没地点から離れたところで、何かが見つかったために調査しているようなふりをした。とある地点で投錨し、ROVを潜水させたのだ。彼らはこのおとりに引っかかり、その地点の調査に向かった」と続けた。これによってOcean Discoveryは、マルス号の出自を確認し、当局に登録するための十分な時間を確保できたのだった。


マルス号の調査チームは沈没現場の状況を3Dプリンタで作成し、さらなる調査を進められるようにした。
提供:Ocean Discovery

 昨日の敵は今日の友だ。Ocean DiscoveryとMMT、シュダテーシュ大学は、この沈没現場を調査する合同プロジェクトを結成した。

 マルス号の調査に用いられている技術のなかに、写真測量法というものがある。この技術は、ダイバーによってさまざまな角度から撮影された沈没現場の大量のデジタル写真を、写真測量ソフトウェアを使ってつなぎ合わせることで、現場の2次元マップを作成するというものだ。

 Rönnby氏は「われわれは、2012年に600枚の写真をつなぎ合わせて現場全体の写真を作り上げた。現場はバルト海の水深70mの地点にあり、完全な暗闇に包まれていたため、写真撮影はとても難しい作業だった。リブリーザーを使ったテクニカルダイビングとともに、もちろん大量の光源も必要だった」と述べた。

 それ以来、さらに多くの写真を追加してきた。また、National GeographicのGlobal Exploration Fund--Northern EuropeとWaitt Institute双方からの資金援助を得て、ダイバーらはさらに多くの写真を追加する予定だ。

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