今年9月までCisco Systemsの技術/戦略責任者(chief technology and strategy officer)を務めていたPadmasree Warriorという女性幹部が、NextEVという中国EV(電気自動車)ベンチャーの米国最高家経営責任者(CEO)兼ソフトウェア開発の責任者に就任することになったという(米国時間12月16日に流れていたニュース(*1)。
また前週には、Faradayという米国のEVベンチャーが米ネバダ州のラスベガス郊外に10億ドルを投じて製造ラインを建設することになったというニュースも流れていた(*2)。今回はこの2つの話を中心に、中国のネット企業とEV開発に関する話を紹介する。
NextEVとFaradayの1つの共通点は、Teslaを追撃目標として掲げている点、もう1つは中国ネット系大手の後押し(資金提供)を受けている点。
NextEVを創業したWilliam Liという人物は、yiche.comという自動車関連ネットサイトなどを運営するBitauto Holdings(米NYSE上場企業)の会長兼CEO。
またNextEVは「WeChat」などを運営するTencentやシリコンバレーの有力ベンチャキャピタル、Sequoia Capitalなどからこれまでに5億ドルの資金を調達しているという。また同社はEVの自動車レース「Formula E」にも参戦しており、同チームのサイトをみると契約ドライバーのなかにNelson Piquetとなじみのある名前も見つかる(ただし息子の「ジュニア」のほう)。
NextEVは、将来的には消費者に手の届く価格のEVを開発し、中国市場から順番に投入したい考えとしながら、まずは1360馬力の「スーパーカー」開発を狙っていると、この話題に触れたThe Wall Street Journal記事にはある。
「1360馬力」の自動車というのがどれほどのものかといった点はよくわからないが、ウェブには例えば1300馬力の自動車を撮した動画などもあるので気になる方は参照いただきたい。またNextEVは車輌の生産について、外部の製造業者と手を組むことを計画しているとある。スマートフォンや家電製品のような事業の形を指向している可能性が感じられる。
Warriorは、FastCompanyとのインタビュー(*3)の中で、2014年暮れに創業のNextEVがすでに400人程度の人員を確保していること、その大半が上海本社にいる一方、独ミュンヘンにも設計部門を設けていることなどを明らかにしている。また自らが率いることになる米国拠点については、まずはソフトウェア、人工知能(AI)、ロボティクス、データサイエンスなどの分野の優秀な人材を集めることからチームづくりに取りかかると語っている。
「NextEVでの仕事に関してもっとも期待していることは?」との質問に対しては、「自動車産業が大きな変革期に差し掛かりつつある」とした上で、「この変化はテクノロジだけが先導するものではなく、モバイルインターネット時代において、モバイルやネット分野で起こった技術的進歩をうまく利用しながら、新しい移動/交通のありかたやそのモード、そして新しい車輌を思い描けるか」「そうした新しいものをプラットフォームとしての自動車にどう持ち込めるか、単なる自動車としてだけでなく、自動車をひとつの技術プラットフォームとして考えられるか」などが重要とし、「テクノロジ業界で得た自分のあらゆる知識が新しい分野で生かせることに期待している」と答えている。