Faradayの方は、中国ネット動画配信最大手の「LeTV」創業者が後押しするEVベンチャーという触れ込みで英語媒体では紹介されていることが多い。
LeTV(企業名はLeshi Information & Technology)の創業者Jia Yuetingは、Faraday以外にAtievaというEVベンチャーにも出資し、さらにLeshiでもEV開発を狙っていることなどから、「中国版Elon Musk」になろうとしている、などと書かれた記事もよく目にする。「中国版Steve Jobs」はXiaomi共同創業者のLei Junにとられてしまっているが、「中国版Muskならまだ大丈夫」といったところかもしれない。
このJia Yuetingに焦点をあてたForbes記事(11月上旬のもの。*4)の中には、JiaがEVの事業から利益を上げることをさほど期待していない、あるいはLeTVでこれまでに手がけたテレビやスマートフォンと同じように、EVをLeTVのコンテンツ配信先の1つととらえている、という一節がある。まさに「走るモバイル端末」という感じがする。
FaradayもNextEVと同様、すでに400人程度の人員を確保しており、2017年には第1号車を市場投入する目標を掲げている。また来月のCES(ラスベガス)にはプロトタイプを出展予定だという。
中国政府が「2020年までに500万台のEV普及」という目標を掲げて、EV普及を進めようとしていることや、そのためのインフラづくりとして携帯基地局網を利用しながらEV充電網を整備しようとしているのは以前に記した通り。そうした流れを受けて、この2社以外にも倒産した米のEVベンチャー、Fisker Automotiveを買ったWanxiang Groupなどもこの分野への参入に向けた準備を進めているという。
なお、携帯通信端末分野の分析で有名になった独立系アナリストのHorace Dediuが12月はじめにゲスト出演したBloomberg Westのなかで、自動車のビジネスについて「例えばランボルギーニのように超高級車を年間3000台(販売)といった程度なら、事業としてはさして大変ではない。
本当に大変なのは事業を年間数十万台、数百万台といった単位までスケールさせることで、テスラでもその部分はまだこれから」などと指摘していた(*5)。Dediuは3年ほど前から「Asymcar」というブログ・ポッドキャストも続けてきているので自動車産業についての知見がそれなりに蓄積していると思われる。Teslaの背中を負うEVベンチャー各社が、そうした規模の壁に突き当たる日が来るのだろうか。