なぜIPv6が重要となるのか?
多くの有識者は(そして筆者も)、何年も前からIPv4ではアドレスが枯渇すると警告してきた。とは言うものの、才知に長けたエンジニアたちは手をこまねいて見ていたわけではない。彼らはネットワークアドレス変換(NAT)といった手段を考え出した。このため、アドレスの枯渇という問題自体は回避されたかのように見受けられる。
IPv6の重要性に対するより説得力を持った答えは、インターネットの効率を向上させるというものになるだろう。簡単に言えば、NATのような後付の回避策では、インターネット対応機器メーカー、特にIoT機器メーカーが期待するレベルの機能を実現できないためだ。
例を挙げると、インターネット上で有効となるIPv4形式のルータブルアドレスを保持していないがゆえに、NATによってアドレス(つまり、ノンルータブルなアドレス)が付与されているような現在のIoT機器でも、インターネットには問題なくアクセスできる。しかし、こういったIoT機器はNAT境界の内側に配置されているため、インターネット上の他のIoT機器からはその存在をうかがい知ることができない。これによってIoTの用途に大きな制約が課されてしまう。
誰が影響を受けるのか?
IPv6は、インターネットアクセスを必要とするすべての人々に影響を与える。ただ、自らがIPv4形式のアドレスを使用しているかIPv6形式のアドレスを使用しているのかを知っている人は、IT分野のプロフェッショナルを除けばほとんどいないはずだ。とは言うものの、切り替えは既に長期にわたって行われてきており、ほとんどの問題は解決されている。
インターネットの世界では、地球上を5つの地域に分割し、各地域を地域インターネットレジストリ(RIR)という組織が管轄するよう定められている。各RIRはその管轄地域において、アドレスというリソースに対する技術的な調整や管理に関するサービスを提供しており、IPv6についての一般的かつ価値ある情報のほか、自管轄地域における責任に関する具体的な情報も提供している。
- アフリカ地域:African Network Information Center(AFRINIC)
- アジア太平洋地域(アジア並びにオセアニアにおける56の経済圏からなるアジア太平洋地域全体):Asia Pacific Network Information Centre(APNIC)
- 米国及び、カリブ海や北大西洋の多くの島々のある地域:American Registry for Internet Numbers(ARIN)
- ラテンアメリカ及びカリブ海地域:Latin America and Caribbean Network Information Centre(LACNIC)
- 欧州及び中東、一部の中央アジア地域:Réseaux IP Européens(RIPE)