(3)OSSに積極的なMicrosoft
近年、米Microsoftは、オープンソースへの傾斜が顕著になってきています。前CEOが「Linuxは癌だ」と発言していた会社が大きく様変わりしていて、現CEOのSatya Nadella氏は、「Microsoft Loves Linux」と発言しています。
今年2月には、.NETのエンジンである「CoreCLR」をオープンソース化しました。「CoreCLR」は、「.NET Framework」のフォーク版である「.NET Core」の実行エンジンです。.NET Coreは「Windows」のモバイル、デスクトップ、サーバ環境向けのアプリケーション開発を簡素化する目的で、2014年秋にオープンソースとなっています。今後「.NET Core」はクロスプラットフォームをめざしており、.NETのオープンソースの取り組みと同様に、数カ月以内にLinuxとMacの実装を加える計画のようです。
7月には、OpenBSD Foundationの「ゴールドコントリビュータ」として同組織を支援することを発表しました。OpenBSD Foundationは、同名称のBSD系ディストリビューションを開発する非営利団体で、SSHプロトコルと互換性のあるオープンなSSH実装であるOpenSSHの開発も同団体の下で進めています。Microsoftは6月にPowerShellでのOpenSSHなどSSHのサポートを計画していることを明らかにしており、「今回の寄付は、OpenBSD FoundationがOpenSSHプロジェクトを支援していることへの認識の下で行われた」とOpenBSD Foundationは説明しています。
また11月には、「Visual Studio Code」のオープンソース化が発表されました。Visual Studio Codeは、Windows、Mac OS、Linuxで動作する軽量のコードエディタで、これに併せて、同製品のベータ版がリリースされています。このベータ版は4月28日にリリースされた初期プレビュー版から大幅に更新されており、拡張機能と「Visual Studio Marketplace」のサポートが追加されています。また、「Visual Studio Marketplace」では早くも60個を超える拡張機能が公開されています。
同じく11月には、Red Hatとクラウドサービスに関して連携するという衝撃的なニュースを発表しました。マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」で、Linux動作環境の優先的選択肢として「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」を提供し、プライベートクラウドとパブリッククラウドにまたがって、Red Hatが提供するソフトウエアを利用したアプリケーションの構築、配置、管理などを行うためのツールも提供するようです。