富士通研究所は12月21日、2015年7月より福島県郡山市とともに行っている下水道氾濫の兆候を検知するセンシングシステムの実証実験において、ゲリラ豪雨発生時の内水氾濫の兆候をリアルタイムに検知し、有効な分析につながるデータの取得に成功したと発表した。
また、本実証実験では、自然環境から得られる小さなエネルギーを電力に変換するエネルギーハーベスティング技術も並行して検証し、温度差をエネルギーに変える高効率熱電モジュールを開発してマンホールの蓋に設置し、センサの長期安定運用を可能にする高い発電量を得られることが確認できたとのこと。
富士通研究所では、都市における大雨やゲリラ豪雨による被害軽減に向けて、水位計測機能を備えたセンサをマンホールに組み込み、計測値から氾濫の兆候などを高精度に検知する下水道氾濫の兆候を検知する技術を開発してきた。
今回の実証実験は郡山市との協定によるもので、7月23日からマンホールセンシングによるリアルタイム水位モニタリングを実施。落合掘雨水幹線に沿ったマンホールやグレーチングの3カ所に水位センサを設置し、実測データを活用することで、以下の結果が得られた。
内水氾濫の兆候検知
マンホール内部からの無線通信により、下水道水位情報をクラウドシステム上でリアルタイムにモニタリングできることを検証。ゲリラ豪雨発生時に下水道の水位が20分で2.2m急上昇するという、内水氾濫の兆候を検知した。

ゲリラ豪雨時の雨量と水位変化(富士通研究所提供)