ニュースサイトThe Interceptは米国時間12月23日、Juniper Networksが先週明らかにした「ScreenOS」の脆弱性について、米国家安全保障局(NSA)と英政府通信本部(GCHQ)が関与している疑いがあるとするドキュメントを入手したと報じた。
The Interceptは透明性のあるジャーナリズムを目指す新しいメディアで、政府による盗聴などの分野に明るいジャーナリストGlen Gleenwald氏らが2014年に開始した。
今回、同メディアはEdward Snowden氏より2011年2月付の文書「Assessment of Intelligence Opportunity - Juniper」を入手したとしている。この文書によると、英国の諜報機関であるGCHQが「NSAとの明らかな協業の下で、Juniper製のファイアウォール13種のセキュリティ脆弱性を極秘に悪用する能力を獲得した」という。
文書はNSAの従業員が作成したもので、The Interceptによるとこの従業員は「Access Strategy Team」の一部としてGCHQと協業していたという。
文書はGCHQとNSAがJuniperのハッキングに関係していることを明確に示すものではないが、「(GCHQとNSAの)両機関がJuniperのセキュリティ製品ライン「NetScreen」に侵入する方法を見出したことは明らかだ」としており、12月に入りJuniperが公開したセキュリティホールの作成に「2機関が関与しているという疑問が持ち上がる」とまとめている。
ScreenOSはNetScreenなどに搭載されるが、JuniperがScreenOSの2件の脆弱性を報告したのは12月17日のことだ。当初から、Juniperの脆弱性はNSAと協力者が仕掛けた暗号化のバックドアに起因すると見る向きがある。
文書は、Juniperが盗聴からデータを保護する技術を提供することからJuniperを「脅威」および「ターゲット」と位置づけ、傍受活動のシギント(SIGINT)にあたって「Juniperの技術に追いつく」必要があると記しているという。
The InterceptがGCHQにこのドキュメントについて尋ねたところ、諜報活動に関する質問にはコメントしないと述べたという。NSAからはコメントを得られなかったとしている。Juniperは、最高レベルの倫理基準でオペレーションをしているという声明文を出した。「意図的に『バックドア』を挿入することは自社のポリシーに反する」「他者と協力して自社製品に脆弱性を入れるようなことはしないというポリシーを敷いている」などと記しているという。
「Assessment of Intelligence Opportunity - Juniper」はDocumentCloudで公開されている。