パターン学習:TensorFlow
Googleは、機械学習ライブラリであるTensorFlowをオープンソースとして公開した。(公開時点では、Python用のAPIが「もっとも完全で使いやすい」ものになっているが、C++用のAPIも提供されている)。
機械学習システムは、一般的なアプリケーションとは異なる形で機能する。従来のアプリケーションは、プログラムによって結果が決まるが、機械学習システムでは入力されたデータによって結果が決まる。
例えば、あるプログラムがさまざまなフォントやサイズ、色、スタイルの文字を表示する機能を持っているとする。このとき、これらの文字の特徴を決めるのはシステムだ。ユーザーは自分が選んだ特徴の組み合わせで文字を表示するために、設定を行う。
機械学習システムでは、このプロセスが逆になる。文字の例を集めて、そのデータをシステムに入力するのだ。このデータには例えば、印刷物やウェブページ、ポスター、看板、本、雑誌、お菓子の外箱、レシートなどに書かれているテキストの画像などが含まれているかもしれない。システムは、そのデータに基づいて文字の見分け方を「学習」する。
機械学習はすでに、Googleがスパムを判別したり、言語を翻訳したり、画像を認識したり、検索結果を返したりする際に利用されている。TensorFlowは、データから学習するシステムを構築するのに必要な、核となるツールを提供する。
2015年11月、GoogleはTensorFlowを誰でも使えるオープンソースの機械学習システムとしてリリースした。
戦略的な意味
Cloud VisionとTensorFlowは、開発者が新たな世界に踏み出すための道を開く。
Cloud Visionは、画像検索が現在のテキスト検索のように一般的になる未来を生み出す可能性がある。画像検索は、ユーザーが製品をどう使っているかを理解する助けになるだろう。画像分析は、ジャーナリストや政治評論家、ブランドマネージャーなどが、人々の態度や感情を分析するのに役立つかもしれない。また、コンテンツ検知機能は、教育アプリの中で若い学生が暴力的な画像や害のある画像にさらされるのを防ぐために使われるかもしれない。Cloud Visionを使えば、開発者はサービスとして画像認識の恩恵を受けることができる。
機械学習とTensorFlowが与える影響は、さらに大きなものになる可能性が高い。機械学習は、自律的に動く乗り物の開発や、よりスマートなモノの設計、ネットワークに接続された都市の構築などに使われるだろう。スマートフォンが電話の便利さを大きく向上させたように、機械学習はコネクテッドなクラウドプラットフォームの力を増幅するはずだ。機械学習は、「Google Cloud Platform」を競合する他のサービスと差別化する機能になるかもしれない。
いずれ、機械学習システムの能力が大きく向上し、猫が含まれる写真を認識するだけでなく、それが自分の飼っている猫かどうかも判別できるようになる日が来る可能性がある。飼い猫が何を考えているかをシステムが教えてくれるようになるかどうかは分からないが。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。