Fintechの正体

「Fintechイヤー」だった2015年(前編) - (page 4)

瀧 俊雄

2015-12-27 07:30

 また、自己ビジネスでの変革という切り口では年末になって発表された日立製作所によるスマートフォン内蔵型のキャッシュカードも1つの事例といえる。ATM関連の事業も含めて、銀行をとりまく多様なシステム提供者の中で、共通して新しい顧客接点や付加価値を探る動きが生まれている点は注目されよう。

 (2)に相当する動きとしては富士通が設立したFIFJが多くの注目を集めた。こちらは、さまざまなFintech企業と金融機関のマッチングを実施している。

 他にも日本IBMが展開するIBM FinTechプログラムでも、同社のクラウドプラットフォームを利用しつつ、金融機関とベンチャーの提供する諸サービスの接点を模索する動きが見られている。

 さらに、従来から通算4回のFintech企業のビジネスコンテストFIBCを提供してきた電通国際情報サービス(ISID)が企業への資本参加を開始するといった動きがみられており、総じて国内のSIerが何らかの形で、金融システムの中に新しいイノベーションの成果を取り込み、実体化していこうとする流れが見られている。

 前編では主に国内のFintechの動きを振り返った。後編では、海外の動きと一連の動きが意味することを解説する。

瀧 俊雄
取締役 兼 Fintech研究所長
1981年東京都生まれ。 慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村證券入社。野村資本市場研究所にて、家計行動、年金制度、金融機関ビジネスモデル等の研究業務に従事。スタンフォード大学経営大学院、野村ホールディングスの企画部門を経て、2012年よりマネーフォワードの設立に参画。自動家計簿サービスアプリ「マネーフォワード」と、会計や給与計算、請求書発行などのバックオフィス業務向けアプリ「MFクラウド」シリーズを展開している。

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