「空の産業革命」の期待を集めるドローンと政府の対応
小型無人機「ドローン」は、撮影、運搬、調査・点検・測量、災害・救急・警備など、「空の産業革命」といわれるように、さまざまな分野での活用が期待されている。
政府や自治体などにおいてもドローンを活用する動きが始まっている。国土交通省は7月、箱根山・大涌谷(同県箱根町)周辺が、気象庁の発表する噴火警戒レベル「3」の対象となり、激しくなった火山活動の影響を調査するため、ドローンによる調査を実施した。ドローンでは、大涌谷周辺の規制範囲内を空撮し、噴気の状況や、火山灰の積もった量、土砂災害に備えた砂防施設の状況などを調査をしている。
政府の国家戦略特区諮問会議は12月15日、千葉市を国際戦略特区に指定し、ドローンを利用し、外出が困難な高齢者や子育て中の主婦らがドローンから直接、商品を受け取るといった宅配ができるよう規制を緩和する。
ドローンではプライバシーや安全性での問題も指摘しており、政府も対応を急いでいる。
総務省は6月、「『ドローン』による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン」(案)に対する意見募集を公表した。
このガイドラインでは、策定の目的や位置付け、撮影映像などのインターネット上の取り扱いにかかわる考え方、具体的に注意すべき事項などを挙げている。
ガイドラインには、ドローンによる撮影行為は、プライバシーや肖像権などの権利を侵害する可能性があり、住宅地にカメラを向けないようにするなど撮影の方法に配慮すること、プライバシー侵害の可能性がある映像などにはボカシを入れる配慮をすることなど、具体的な注意事項が明記されている。
国土交通省は12月10日、ドローンの飛行禁止空域およびドローンの飛行方法などの規制を定めた改正航空法を施行している。
出所:国土交通省ホームページ 無人航空機の飛行の許可が必要となる空域について
改正航空法では、ドローンの飛行にあたって、空港周辺など、航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがある空域や、人や家屋の密集している地域の上空では、国土交通大臣の許可を受けなければ、飛行を禁止するとしている。人や建造物から30メートル未満や地上150メートル以上が原則禁止となっており、許可が必要な空域は、東京23区や主要都市が対象となる。