WebRTCとは
WebRTCに関する開発者向けイベントなどを数多く手掛ける、NTTコミュニケーションズの仲裕介氏は、WebRTCの本質をこう語る。

NTTコミュニケーションズ WebRTCプラットフォーム開発チーム エンジニア 仲裕介氏
「WebRTCとは、単純に言えば『Webブラウザ上でビデオ通話を実現する技術』です。『Webブラウザ上でも使える』という点に目新しさはあるものの、それが実現するものとしては、SkypeやGoogleハングアウト(Googleが提供しているビデオ通話アプリケーション)と言った既存のサービスとそれほど変わりません」
では、WebRTCの何がそこまで注目に値するのだろうか。
「本質的には、WebRTCは動画・音声を伴うリアルタイム通信のオープン標準です。WebRTCの画期的な点は、リアルタイム通信技術をコモディティ化することにあります。これまでそうしたリアルタイム技術は技術的な参入障壁が非常に高い領域でした。しかしWebRTCが登場した今は違う。リソースに乏しいベンチャー企業にでも、こうした技術を使用する門戸が開かれるのです」
少し補足しよう。WebRTCはオープンな標準規格として規定されている技術であり、WebRTCを使用するにあたって、ライセンス費用の支払いなどは一切必要ない。またWebRTCは高度に抽象化されており、以下の様な技術的詳細をほとんど隠蔽する。
- 音声/映像のコーデック(データ形式)
- NAT超え(異なるプライベートネットワークに属するコンピュータ同士を直接接続する)
- 暗号化やトラフィックの流量を制御するためのネットワーク・プロトコル
- 上記の処理を隠蔽したAPI(Application Programming Interface)
WebRTCを使用すれば、こうした技術に関して専門的な知識を持たない開発者でも、リアルタイムアプリケーションを容易に作成できるのである。