組織で取り組むUI/UX

UI/UXに組織として取り組む--目的を明確に - (page 2)

綾塚祐二

2016-01-06 07:00

具体的なタスク

 部署の位置づけの話が長くなった。位置づけは他の要素を扱う人たちとの関わり方を主に左右するが、「UI/UX設計部」がやるべき基本的なタスク自体はおおよそ同じである。もちろん、位置づけによって、それらのうちどれをやるか、どこまでやるかなどは変わってくる。

UIの設計

・基本的な要件が決まっている場合の設計

 アプリケーションやサービスがユーザーの目的を達するために必要な入力事項など、データの流れなどの要件が既にはっきりしていて基本的な処理の設計できている状態であれば、それに合わせて画面設計やレイアウト設計をすればよい。

 その段階では(見た目などに特にこだわらなければ)特別なスキルなどは不要に思われるかもしれないが、わかりやすさ、取り違えにくさ、一貫性などに注意を払って設計せねばならない重要なポイントである(前回の記事も参照されたい)。

 「基本的な処理の設計」の中に、UI的な観点で見た場合に抜け落ちている部分がある可能性もあるので、できれば、要件を抽出・整理し、基本的な処理の設計を行う段階にもUI設計者の目が入るようにしたい。

・求められるUXを実現するUIの検討・設計

 既存のシステムで生じる、あるいは現在設計しているシステムで生じるであろうUXを改善、改良したい、という要望がありうる。また、提案された(新たな)UXを実現するシステムを作りたいという要望もやってくるであろう。

 狙うUXを実現するのに必要なのがUIだけとは限らないが、UIでどう実現するか、どこまで実現できるのかなどは、UI設計者を中心に検討されるべきである。

・情報デザイン

 インタラクションが起こる部分だけでなく、説明の表示の仕方やタイミング、エラーやアラートの伝え方、適切なログの見せ方など、情報デザインと呼ばれる部分の設計や監修も、UI/UXのスキルや知識が必要なポイントである。これはまだあまり明確に意識されていることは少ないかもしれないが、「見せ方」という点で、広報部門などとも積極的にかかわるのも有効であろう。ただし、単に「きれいな資料、図、ポスターなどを作れる人たち」と思われてしまわないように注意する必要がある。

・ビジュアルデザイン、視覚的演出

 前項と関連して、UIデザインとは決して装飾的な見た目のデザインだけの話ではないが、ビジュアルデザインがUIに無関係なわけではない。インタラクションデザインや情報デザイン上の要請を満たしつつ、きれいな、素敵な、魅力的なビジュアルのデザインが求められるタスクといえよう。

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