2016年の元旦を迎えた。大企業も含めたクラウドシフトの本格化、AIなどまだ未知数のテクノロジ活用、FinTechをはじめとしたビジネス側における革新など、さまざまな領域にトピックを抱える年となりそうだ。ITの主要企業のトップは、2016年をどうとらえているのか。各社の年頭所感を集めた。
日本アイ・ビー・エム 代表取締役社長 ポール与那嶺氏
近年、「ウーバライゼーション(Uberization)」という言葉に象徴されるように、これまで競合と考えられなかった企業がデジタル技術を駆使して既存の市場に革新的なビジネスモデルで参入し、従来のプレイヤーを脅かすなど、さまざまな産業で業界の統合や融合が加速しています。こうした環境の中で勝ち抜いていくためには、圧倒的な顧客体験の提供や徹底的な効率化などにより競争力を強化するだけでなく、これまでにないまったく新しい価値を創造し、提供していくことが必要になると考えています。
日本アイ・ビー・エム 代表取締役社長 ポール与那嶺氏
IBMは2015年秋、テクノロジとビジネスの新たな時代の重要なテーマとなる “コグニティブ・ビジネス”を提唱しました。コグニティブ・ビジネスは、インターネットなどを通じて日々生み出される膨大なデータを理解し、人と自然にかかわり合い、これまでにない規模で学習し、目的を持った推論をするシステムを利用することで、人がより良い意思決定を可能にするものです。これは、1990年代の「e-ビジネス」、2000年代の「スマーター・プラネット」に続くコーポレート・ビジョンです。
このコグニティブ・ビジネスを強力に推進していくため、ソフトバンクとのIBMワトソンにおける協業や、日本郵政グループ、Appleとの超高齢化社会向けのサービスに関する提携、Twitter、Facebook、The Weather Companyなど膨大なデータを有する各企業と提携や投資を継続し、サービスの拡充に注力して参りました。
2016年は干支十二支の丙申(ひのえさる)の年です。時代の変化を見極め、将来を見通してさまざまな変革を実践し、時には臨機応変に迅速な判断と行動を起こすことによって成長をしていくという意味があるそうです。私たち日本IBMでは、2015年までに整えてきたさまざまな企業との提携を含めた戦略を実行し、変化の激しい時代の中でさらなる成長を目指す決意をしております。
研究開発、営業・マーケティング、デリバリーやサポートなどすべての部門が一丸となり、IBM Watsonをはじめとしたコグニティブ・ビジネスを通じて、あらゆるお客様の国内外市場における競争力の強化と変革を支援します。