SaaSアプリケーションに対する新しいセキュリティアプローチ
SaaSアプリケーションに対する新たなセキュリティアプローチとしてまず挙げられるのが、SaaSのクラウドに接続する手前でセキュリティを実施する別のクラウドサービスを導入し、ユーザーはそのクラウドを通してSaaSアプリケーションを利用するという方式です。
この場合、SaaSアプリケーションに送信されるデータやファイルを事前にチェックしたりスキャンしたりでき、さらにファイルやデータを暗号化するなどの動作も可能になります。
ただし、課題としてはSaaSアプリケーションの挙動が変わることによって通信ができなくなってしまったり、SaaSアプリケーションに組み込まれた機能が一部使えなくなったりしてしまうという点が挙げられます。
もう1つのアプローチは、SaaSアプリケーションに対してバックグラウンドで接続してセキュリティを実施するサービスを提供するという方式です。
この方式では、SaaSアプリケーションのクラウド上にあるファイル対して、APIなどを介してバックエンドで検査や分析をすることになるため、データやファイルがSaaSアプリケーションに上がる手前で検査するということはできません。しかし、代わりにユーザーは従来のSaaSアプリケーションの使い勝手や機能を損なうことなく利用できるというメリットがあります。
それぞれのアプローチにはメリット・デメリットがあるため、利用ケースに合わせて最適なSaaSのセキュリティアプローチを選択するのが望ましいです。
SaaSアプリケーションは生産性を高める上で必要不可欠なツールであり、今後もさまざまなサービスが企業で利用されることが予想されます。一方、企業は下記のようなSaaSアプリケーションのリスクを正しく理解し、有効かつ安全に活用するために有効なセキュリティ対策を検討することの方が重要となります。
- 脅威トレンドやSaaSアプリケーション利用の社内教育
- 利用が許可されたSaaSアプリケーションをネットワークレベルで制限
- 侵入する脅威に対するネットワークやエンドポイントでの防御
- 新しいSaaSアプリケーション向けセキュリティソリューションを用いた情報漏えい対策とマルウェア対策
- 羽生 信弘
- パロアルトネットワークス合同会社 システムズ エンジニア。海外製品を取り扱う販売代理店のエンジニアとして経験後、情報セキュリティの専門企業のSOCにてサイバー攻撃の分析及び、セキュリティ対策の提案に従事する。2014年よりパロアルトネットワークスに参画。