Amazonは自社独自の物流網を構築してFedExやUPSとの関係を絶つのだろうか?
ホリデーシーズンも終わる頃、The Wall Street JournalはAmazonとUPSの関係が緊張していると報じた。その理由は、AmazonがUPSへの委託を廃し、おそらくは配送コストの削減につながる自社独自の物流網を構築しようと検討しているためだ。こうしたニュースと、ドローンによる配達や「Amazon Prime Now」といったサービスの話を考え合わせると、Amazonがどこかの時点で顧客への直接商品配達を拡充していこうとするのは明白だ。2016年にはおそらく、このような取り組みがより具体化されるだろうが、これらの配送コストが膨大なものである点とともに、Amazonがサードパーティーの利用を最低限にまで減らせるようになるには何年もかかるという点を忘れてはならない。
「Amazon Prime」は各種サービスに分割されるのか?
Amazonは2015年12月28日、Amazon Primeに関する目もくらむような勢いを報告した。例を挙げると、12月の第3週の間だけで300万人を超える人々が新たにPrime会員になったという。また、Primeサービスではホリデー期間中に2億個を超える商品が配送されたという。こういった数値は2014年の2倍に達している。さらに「Prime Music」のストリーミングは1年前と比べると350%に増え、「Prime Video」の再生時間は倍になったという。
このビジネスモデルは明快だ。Primeのサブスクリプション数が増えれば、Amazonの売上高が増加する。そしてPrime会員は、より多くの商品を購入する。彼らはより多くのデジタルコンテンツも購入する。Prime会員によって売上高というはずみ車が回り始めるのだ。ここでの大きな疑問は、Primeがあらゆるサービスをまかなう1つのサービスなのか、最終的に分割できる一連の独立したサービスなのかだ。Prime Videoは商品の配送契約についてくるちょっとした特典だが、個別にコンテンツを購入することをいとわない人もいるはずだ。つまり、AmazonのPrimeを用いたアプローチは、ある種の最新型のケーブルビデオ契約と言ってもよいだろう。どこかの時点で、このような計算が働き、AmazonはPrimeからこれらのサービスを切り離すかもしれない。サービスを分割するのかと聞かれれば、同社はPrimeに魅力的な価値があること、また多数のサービスをバンドルしておく妥当性を説明する回答を返してくるのだろう。
Primeの分割を急ぐ必要はない。Macquarie GroupのアナリストBen Schachter氏は、米国における世帯の少なくとも25%はPrime会員であり、Amazonは2015年における米国のEコマース市場の成長のうち、およそ半数(そして小売市場の成長のうちの24%)を占めていると述べている。