富士通は1月6日、オープンプラットフォーム「OpenDaylight」を採用した通信サービスプロバイダー向け広域仮想ネットワーク運用制御・管理ソフトウェア「FUJITSU Network Virtuora NC(バーチュオーラ エヌシー)V03」を発表した。1月からグローバルで提供を開始する。
Virtuora NC V03は、マルチベンダーで構成されたネットワークの運用管理の自動化と仮想化を実現するSDN(Software Defined Networking)製品。特徴は以下の通り。
(1)3階層構成
サウスバウンドインターフェース(オープンプラットフォームとネットワーク装置の間に存在し、互いに情報交換するための接続点)、オープンプラットフォーム、アプリケーションレイヤ(オープンプラットフォーム上で動作し、ネットワーク装置を制御するソフトウェアが配備される階層)の3階層で構成され、トランスポートレイヤー(伝送装置で構成されるネットワークの階層)を効率的に管理。
3階層に分けたことにより、階層ごとにアジャイルやDevOpsなどのソフトウェア開発手法を活用して、各種インターフェースやコントローラー上で動いているアプリケーションへの影響を最小限に抑えながら、ネットワークのメンテナンスやアップグレード、ほかのコントローラーへの移行が可能。試験工数の削減やサービスの継続性と質の向上を実現する。
サウスバウンドインターフェースは、YANGモデル(YANG:Yet Another Next Generationを使用してネットワーク装置の値や構造を抽象化したもの)、およびXMLで抽象化されている。また、TL1(Transaction Language 1:ASCIIベースのネットワーク管理プロトコル)やNETCONF(Network Configuration Protocol:ネットワーク装置を制御するためのプロトコル)、そのほかの運用管理プロトコルをサポートしているほか、マルチベンダーに対応できるよう設計されている。
オープンプラットフォームでは、プラットフォームとしてオープンソースソフトウェアのSDNコントローラであるOpenDaylightを採用。マルチベンダーのデバイスやサードパーティーのアプリケーションをシームレスに統合することができる。
OpenDaylightの持つデータや機能へは、標準化されたREST(Representational State Transfer:HTTP仕様に準拠したWebベースのインターフェース)をベースとしたAPI、および標準的なデータモデリングによって、あらゆるアプリケーションからアクセスできる。そのため、OpenDaylight対応のアプリケーションは本製品へ容易に実装可能。
アプリケーションレイヤは、通信ネットワークの制御や管理、サービスの実現、検証などのアプリケーション機能、また外部の運用システムと連携するためのノースバウンドインターフェース(SDNコントローラと外部のシステムとの間に存在し、互いに情報交換するための接続点)で構成され、独自に開発したリソース検出、経路計算などのモジュールを標準搭載。モジュール構造になったアプリケーションは、データ収集や分析機能、リソース管理のための外部インターフェースを搭載している。
(富士通提供)
(2)トランスポートレイヤーを管理するアプリケーション
・リソース検出アプリケーション 既存のネットワークへの新たなネットワーク装置の追加や、新たなネットワークの構築を行った際に、自動的にノード・リンクや機器を検出。
・経路計算アプリケーション 利用可能な帯域幅やネットワークの障害、リンク単位もしくは経路全体での通信の遅延、冗長性などの制約条件下における最適な経路を計算。
・動的回線活性化・自動回線復旧アプリケーション 通信サービスプロバイダー向けに、自動またはオンデマンドによる回線サービスの活性化や復旧を実現。