松岡功の「今週の明言」

NECの研究開発役員が語る「AIのとらえ方」 - (page 2)

松岡功

2016-01-08 12:03

 さらに同氏は、「NECは特に映像解析やビッグデータ分析の領域で、ナンバーワンあるいはオンリーワンのAI技術を数多く保持しており、それらを組み合わせることによって他にはないAIソリューションを提供し、さまざまな分野でお役立ていただけていると自負している」と語った。

 ただ、会見の質疑応答では「ナンバーワンあるいはオンリーワンのAI技術を数多く保持しているといっても、ニッチな領域の技術ばかりでは生み出せる価値も限定されるのではないか」といった質問も飛んだ。これに対し、江村氏は「NECのAI技術の研究開発は、すべて重要な社会課題を解決する目的をもって取り組んでおり、ニッチな領域にとどまるものではない」と答えた。

 江村氏の話からすると、NECはICTプラットフォームとともに、強みとするAI技術群をこれから前面に押し出していく構えのようだ。果たして「AIのNEC」をグローバルに浸透させていくことができるか、注目しておきたい。

「セキュリティデバイドを生まないソリューションを提供したい」
(シマンテック 外村慶 執行役員)

シマンテックの外村慶 執行役員
シマンテックの外村慶 執行役員

 シマンテックが先ごろ、高度な標的型サイバー攻撃の脅威に対抗するためのセキュリティソリューション「Symantec Advanced Threat Protection」の国内提供を開始すると発表した。同社執行役員でセールスエンジニアリング本部長を務める外村氏の冒頭の発言は、その発表会見で、新ソリューションの狙いについて語ったものである。

 新ソリューションの内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは外村氏が語った標的型サイバー攻撃の脅威を企業が防止するうえでの2つのポイントについて取り上げたい。

 まず1つは、「もはや脅威を水際で完全に阻止することはできない」ことである。

 「これまでのセキュリティ対策は、外部から来る脅威を水際で阻止することが前提となっていた。ただ、脅威が高度化する中で、もはや水際で完全に阻止することは難しくなってきている。そこで最近では、脅威にさらされたとしても、いかにして迅速に平常時の状態に戻すかという“回復力”が求められるようになってきた」と外村氏は説明する。

 もう1つのポイントは、「標的型サイバー攻撃の脅威は企業規模を問わない」ことである。

 「これまで標的型攻撃の脅威は大手企業が対象だったケースが多かったが、最近では企業規模を問わないようになってきた。攻撃者は中小企業の機密情報もさることながら、中小企業を踏み台にして大手企業に入り込もうという巧妙な手口も多く見受けられるようになってきた。そこで最近では、企業規模の違いによるセキュリティデバイドを生まないような誰でも使えるシンプルな対策が求められるようになってきた」と同氏は説明する。

 つまりは「回復力×シンプル」が標的型サイバー攻撃の脅威に立ち向かうポイントで、新ソリューションはそれを狙ったものだという。同社としても戦略商品の1つに位置付けているようだ。

 外村氏が語った2つのポイントは、セキュリティ市場においても重要なトレンドとして注目されつつある。シマンテックの新ソリューションがとりわけ中小企業にどれだけ受け入れられるか、注目しておきたい。

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