日立製作所は1月12日、システム運用管理ソフトウェア「JP1」の最新版「JP1 Version 11」を1月13日に世界で同時発売すると発表した。JP1をSaaSで提供し、関連機能として国内向けにIT資産管理と高速データ転送サービスを開始する。障害発生時の対応と復旧を効率化する新製品、パブリッククラウド上のジョブを管理し、オートスケール環境を実装する新機能を提供。アプリケーション開発においてREST APIにも対応する。
「サービスとしてのJP1」を軸にさまざまな機能を実装したと話す日立製作所情報・通信システム社ITプラットフォーム事業本部 プロダクト統括本部の管理ソフトウェア開発本部、システム管理ソフト設計部の部長を務める石田貴一氏
システム障害発生時の原因究明分析を迅速化するための新製品は「JP1/Operations Analytics」。クラウドや仮想化の利用で複雑化する情報システムで、サーバやストレージ、ネットワークといったシステム全体の構成要素を自動収集する。業務システムとの相関関係の可視化、障害の発生箇所や原因の特定に必要な情報の抽出、原因分析や影響把握の迅速化を図ることで、運用を効率化できるようにする。
管理者のスキルやノウハウに依存していた作業を自動化し、影響範囲の拡大や復旧作業の長期化を防止する。
AWS上のジョブも管理
アクセス急増時などにサーバの処理能力を自動強化するオートスケール機能の重要性が指摘されている。急増時のみパブリッククラウドにトラフィックを流すといった利用形態が増えており、それに対応する形で、Amazon Web Services(AWS)上のジョブも管理できる仕組みを「JP1/Automatic Job Management System 3」に実装した。

オートスケール機能を強化
ジョブの実行先として、AWSが提供するELB(Elastic Load Balancing)を指定することで、AWS側の各ジョブにJP1のAJSエージェントを自動的に追加する。トラフィック増などにより仮想マシンを動的に追加したような場合も、仮想マシン上に追加したAJSエージェントから情報を取得し、監視対象にできる。
また、REST APIにも対応。ウェブに存在する複数のアプリケーションを組み合わせて1つのアプリケーションを迅速に構築する、いわゆる「APIエコノミー」に関連する手法も採用できるようにした。