IDC Japanは1月12日、企業のDevOpsの採用状況に関する調査結果を発表した。調査では、国内の企業および組織のIT部門を対象としたアンケート調査を2015年9月に実施し、515社から有効回答を得た。それによると、DevOpsを採用している企業は6.6%で、約70%の企業は関心がないことがわかった。
国内企業におけるDevOpsの採用状況(IDC提供)
DevOpsの採用状況を詳しく見ると、既に採用している企業は6.6%、2年以内に採用する計画がある企業は5.0%、時期は明確ではないが採用する計画がある企業は6.6%と、現状ではDevOpsの採用に取り組んでいる企業はまだ少ない。
一方、DevOpsを採用する予定はない企業が32.6%、DevOpsを知らないという企業が38.6%となり、約70%の企業はDevOpsに対する関心がないという結果となった。この背景には、DevOpsの必要性や効果があまり理解されていないことがあると同社では指摘する。
DevOpsを採用している企業に対して、採用するに至った背景を調査した結果、「IT部門で開発や運用にかかる工数を減らすことが求められた」が58.8%と最も多い回答で、開発と運用の工数削減要求がDevOpsの採用を強く促したことがわかる。
続いて多かったのは「品質の高いアプリケーションが強く求められた」(38.2%)で、アプリケーションの品質向上も大きく影響している。DevOpsを採用する計画がある企業については「モバイルデバイスとモバイルアプリケーションの利用増加に対応する必要があった」がDevOpsの採用を計画する背景として最も多い回答となった。
リリースサイクルの早いモバイルアプリケーションへの対応が必要となり、今後DevOpsへ取り組む企業が増加していく可能性は高いとIDCではみている。
また、DevOpsを採用している企業に対して採用する上で課題になって点について調査した結果、最も多かった回答は「投資効果が見えにくかった」で38.2%。DevOpsの成果、特にどのくらいビジネスに貢献しているかを具体的な数値で評価することが難しく、投資対効果がはっきりしないという課題を残している。
さらに2番目に多かった回答として、「DevOpsを進める共通のプラットフォームがない」が挙げられた。この結果から、DevOpsを推進するためには、開発からテスト、運用まで一連のDevOpsプロセスを実行する共通したプラットフォームの構築も大きな課題となることが見えてくる。
同社ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷光浩氏は、以下のようにコメントしている。
「現状ではDevOpsに対する取り組みや認知は少ないが、今後、モバイルファーストやクラウドファーストに向けたアプリケーション開発要求の増加がDevOpsを促進していくと考えられる。DevOps実現に向けて企業はまず始めに、オープンソースソフトウェアやクラウドサービスを有効に活用してコストを抑えたDevOpsプラットフォームを構築し、試行錯誤を繰り返しながら自社にとって最適なDevOpsプロセスを見つけていくことが重要である」