日本株展望

為替、地政学リスク、アベノミクスなど、読者からの質問に回答

ZDNet Japan Staff 2016年01月13日 11時02分

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 1月12日の日経平均は、前日比479円安の1万7218円だった。外国人投資家が、主に海外要因から、日本株を強引に売ってきている。

 楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏は日本および世界経済の実態がリーマンショックの時のように急激に悪化しているとは考えていないという。今までと同じように、ゆるやかな世界景気の拡大が続いていくと予想しているとのことだ。

 外国人の売りがどこで一巡し、日経平均がどこで大底を打つか予測することは難しいが、テクニカル指標で見て「短期売られ過ぎ」シグナルが複数出ており、大底は近づいていると考えられるとの見方だ。

 今回は、窪田氏に届いたコラム読者からの3つの質問に、窪田氏が回答する。

為替についての質問

 円高が進むと、必ず「安全資産としての円」が買われたという解説が決まり文句のように出てくるが、これには、どうも納得がいかない。そもそも何でリスクが高まるたびに円が買われるのだろうか。(注)複数の方のご質問を抜粋して1つにまとめています。

【窪田氏からの回答】

 レポートの中でしばしば「安全資産として円が買われた」「リスクオフの円高が進んだ」という表現を使っている。「日本の政府債務が1000兆円を超えた」「GDPに対する政務債務の割合が200%を超えており、ギリシャ並みに悪い」と言われる状況下で、なぜ円が安全なのか不思議に感じる方が多いのは当然だろう。

 国の信用をはかる時、政府の借金だけ見ていても意味はない。政府部門と民間部門の資産・負債を合算して、日本国が海外からいくら金を借りているか、あるいは貸しているかを見る必要がある。それが、対外純資産残高に表れている。日本は、世界最大の対外純資産保有国だ。

対外純資産額の上位3カ国:2015年12月末時点

(出所:財務省)
(出所:財務省)

 政府部門は巨額の借金を抱えていますが、日本の国債の約95%は日本国民によって保有されており、海外から借金しているわけではない。一方、日本国は大量の米国債を保有しており、米国政府にお金を貸している状態だ。日本人は、米国債だけでなく、世界中の金融資産や実物資産(工場など)にも投資しているため、対外純資産で見ると、第2位の中国を引き離して、断トツのトップになっている。

 対外純資産の大きい国はほとんど経常収支が黒字だ。対外純資産が大きい国は、経常収支の黒字を積み上げることによって、純資産額を拡大してきたわけだ。そういう国の通貨は、基本的に安全通貨となる。

 かつて、日本円とドイツマルクとスイスフランは、安全通貨の代表だった。ただし、ドイツマルクは欧州の通貨統合で消滅し、共通通貨「ユーロ」になった。「ユーロ」には、ギリシャ、イタリア、フランスなど対外純負債の大きい国の通貨も含まれるため、通貨ユーロは安全通貨とは見なされていない。

 中国の人民元は、中国政府によって、人為的に割高な水準に固定されてきたため、今、市場の圧力を受けて、元切り下げを実施せざるを得なくなっている。そうした事情から、人民元も今は安全通貨とは見なせない状況だ。

 安全通貨は、信用の高さゆえに、金利が低くなっている。世界的にリスク資産が買われる局面では、世界の投資家は、金利の低い安全通貨を売って、金利の高い通貨を買う。対外借金が大きく、金利の高いブラジル・レアルやトルコ・リラが、「リスクオン」局面では買われるわけだ。

 ところが、世界が「リスクオフ」局面に入ると、ブラジルやトルコの信用の低さに注目が当たり、高金利通貨は下落し始める。こうなると、投資家は高金利通貨を売って安全通貨に避難しようとする。そういう理由から、リスクオフ局面で円は買われる傾向が鮮明となる。

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