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日本株展望

為替、地政学リスク、アベノミクスなど、読者からの質問に回答 - (page 2)

ZDNet Japan Staff

2016-01-13 11:02

地政学リスクについての質問

 中東の地政学リスクが非常に気になる。また、東アジアの地政学リスクが日本株に与える影響についても解説してほしい。(注)複数の方のご質問を抜粋して1つにまとめています。

【窪田氏からの回答】

(1)北朝鮮の問題

 最初に、北朝鮮の核実験の影響からお話しししよう。北朝鮮が、中国との結びつきを強めると、米中対立に発展するので、深刻な事態につながる。ところが、今回の核実験では、北朝鮮は事前に中国に核実験実施を伝えなかった。このため、中国の怒りを買った。

 北朝鮮と中国のつながりが薄れ、北朝鮮が国際的に完全に孤立する結果を招いている。したがって、現時点では、今回の核実験が世界的に深刻な事態に発展する可能性は低いと考えられる。

 1950年に始まった朝鮮戦争では、北朝鮮を支持する中国義勇軍が、韓国を支持する国連軍(主に米国軍)と戦いました。表面的には中国義勇軍と国連軍の戦いということになっているが、実質的には、中国(中華人民共和国)軍と米国軍が戦争したともいえる。今も続く米中対立の背景には、この問題がある。

(2)南沙諸島での米中対立

 不測の事態が起こると、日本および世界の株にショックをもたらす可能性があり、注意を要する。米国は今年、大統領選挙が実施される。選挙期間は、候補者から対外強硬論が出やすくなる。また、中国政府も、外交政策では弱みを見せられない状況にあり、米中の対立が深まるリスクがある。

 ただし、中国政府は、今米国と戦っても、装備面で太刀打ちできないことを知っており、当面自制すると考えられる。中国の軍部が暴走しない限り、南沙諸島で不測の事態が起こることはないだろう。

(3)中東の地政学リスク

 中東地域の民族・宗教対立は、何百年も前から続いているもので、今後何百年たっても解決されることはないだろう。ただし、それが日本および世界の経済に与える影響は、当面限定的と判断している。かつて、中東で紛争が起こると、原油価格が急騰し、それが世界経済に悪影響を及ぼした。ところが、今、原油は世界的に供給過剰で、中東で紛争が起こっても、原油価格は上昇しない。

 中東で戦争が起こっても、中東原油の供給が減らないことは、過去の歴史で証明済みだ。1979年イランでシーア派革命が起こり、スンニ派が支配するイラクとの開戦が避けられなくなった時、原油価格が急騰し、第2次オイルショックが起こった。

 戦争によって中東原油の供給が途絶えることが懸念されたが、原油価格は、イラン・イラク戦争が始まった時がピークで、その後イラン・イラク戦争が続いた10年間にわたり、大幅に下落し続けた。

 現在も、中東で地域紛争が増えているが、中東産原油の供給は増加している。イランが米国から受けている経済制裁が完全にとければ、イラン産原油の供給がさらに増えると考えられている。こうした事情から、中東の地政学リスクが高まる事件が起こっても、世界の株式市場に大きな影響は及ばなくなっている。

 さて、最近、新たにサウジアラビアの政情不安が高まるリスクが語られるようになっている。サウジアラビアは、OPEC諸国の盟主で、かつ欧米諸国に協力的な国として知られている。中東の安定化に重要な役割を果たす国だ。ところが、サウジアラビア国内にも、イスラム教原理主義者が数多く存在している。実際、過激派組織アルカイダや、IS(イスラム国)にも、サウジから多数の人材が出ている。

 サウジは、イスラム教原理主義者によって、革命が国内に持ち込まれることを非常に恐れている。そのために、豊富な原油収入を使ってバラマキ型の社会福祉を維持し、社会不安が広がるのを抑えてきた。原油価格の急落は、こうしたサウジの政権安定化策が、うまく機能しなくなるリスクをはらんでいる。

 サウジはイスラム教スンニ派が支配する国だが、国内に2つの対立勢力を抱えている。1つは、スンニ派の原理主義者で、IS(イスラム国)に共感する勢力だ。もう1つは、イスラム教シーア派勢力だ。サウジがIS(イスラム国)への空爆に参加し、シーア派盟主のイランと断交するのは、国内に革命の芽を持ち込まれるのを避けるためといえる。

 このように、最近、サウジの政権が不安定化するリスクが語られるようになっているが、短期的にこの不安が現実化する可能性は低いと考えられる。

 ところで、IS(イスラム国)によるテロ増加で、欧米の消費が萎縮することが心配されているが、今のところ、テロで欧米の消費が縮小する現象は見られていない。

 2001年9月11日にニューヨークで同時多発テロが起こった後、「ITバブル崩壊にテロが追い討ちをかけ、米国は景気後退色を強める」と言われたが、実際には「テロに負けるな」と2001年の米クリスマス商戦は盛り上がり、米景気は逆に力強さを取り戻した。

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