Arcserve Japanは1月12日、業務サーバ10台ほどの中規模環境に向いたバックアップアプライアンスの新製品「Arcserve Unified Data Protection 7300 Appliance」を販売開始した。2月初旬から出荷する。バックアップソフト「Arcserve Unified Data Protection(UDP)」をPCサーバに導入済みとした製品で、バックアップ対象サーバの台数によらず費用を一定とした。税別価格は340万円で、バックアップ容量は12Tバイト。
Arcserve UDP 7300の外観
プリインストールしているArcserve UDPは、企業情報システムのバックアップ用途に適した多機能型のバックアップソフト。OSを含めてシステムイメージを丸ごとブロックレベルでバックアップするイメージバックアップ機能を中核とする。前回のバックアップ時からの差分だけを転送する増分バックアップ、バックアップ対象サーバ側でのデータ重複排除など、バックアップ量とバックアップ時間を短縮する機能に注力している。
Arcserve Japan 営業統括部パートナーアカウントマネージャ 中田皓介氏
増分バックアップでバックアップ時間を短縮できることは、Arcserve UDPの大きなメリットの1つ。Arcserve Japanで営業統括部パートナーアカウントマネージャを務める中田皓介氏は、増分バックアップでフルバックアップにかかる時間を4時間から2分28秒へと短縮した事例として霧島酒造を紹介した。
複数台のバックアップが正常終了したかどうかを1つの管理コンソールで把握できることもメリットだ。光華女子学園の事例では、バックアップソフトをArcserve UDPに統合し、バックアップの正常終了チェックに要する時間をかつての30~40分から数分へと短縮した。
バックアップ対象サーバ台数によらないライセンスを採用
今回同社は、バックアップソフトのArcserve UDPをPCサーバに導入済みとしたアプライアンスを新たに製品化した。ソフトウェア版とアプライアンスの一番の違いは、ハードウェアをサイジングする手間を省いたことと、バックアップ対象サーバの台数によらないライセンスを採用したこと。「アプライアンスのハードウェア性能に収まる範囲であれば、ライセンスは使いたい放題」(中田氏)だ。
大まかな位置付けとして、中規模環境、すなわちバックアップデータ量が数十テラバイトで、物理環境と仮想環境が混在した環境で特にコストメリットが出るという(図1)。ソフトウェア版を選んだ場合、アプライアンスと同等程度の規模でライセンス費用を算出すると、物理サーバ10台で約200万円。これにサーバやストレージと合わせると、システム全体では500万円程度になる。これに対して、同等規模で利用できるアプライアンスは340万円で済む。
図1:ソフトウェア版とアプライアンス版のすみ分け。ソフトウェア版は小規模でコストメリットが出る。アプライアンス版は中規模以上でコストメリットが出る
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バックアップ対象サーバのライセンスが使い放題なので、物理サーバ環境から仮想サーバ環境に切り替える過渡期に、ライセンスが無駄にならずに済む。ソフトウェア版の場合、物理サーバ台数に応じたライセンスを、CPUソケットに応じたライセンスに切り替える際に、サーバ台数ライセンスが無駄になる。
アプライアンスの仕様は以下の通り。CPUは6コア。メモリは32Gバイト。バックアップ容量は12Tバイト(4Tバイトのディスク×4台をRAID 5構成で使用)。ハードディスクとは別に、重複排除機能の重複チェックに使うハッシュ値を記録、参照する用途で240GバイトのSSDを積んでいる。バックアップ量が12Tバイトを超える場合は、アプライアンスを増設して使う。単一の管理コンソールで複数のアプライアンスを管理できる。