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日本株展望

商社株は資源が全面安となった影響に注意が必要

ZDNet Japan Staff

2016-01-14 11:33

 1月13日の日経平均は、前日比496円高の1万7715円だった。年初から外国人投資家の強引な売りで急落してきた日経平均だが、テクニカル指標で「短期売られ過ぎ」シグナルが出てきており、13日は自律反発となった。

 今回は、大手総合商社の投資について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏が解説する。

商社株は、資源が全面安となった影響に注意が必要

 大手総合商社は、好配当利回り株として注目されています。以下の表でわかる通り、予想配当利回りが高いことに加え、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの値が低く、株価は割安と考えられる。長期的には投資魅力の高い銘柄群であると考えられる。

大手総合商社の株価バリュエーション:2016年1月13日時点

(出所:楽天証券経済研究所が作成)
(出所:楽天証券経済研究所が作成)

 ただし、短期的には警戒すべき状況にある。大手総合商社は、原油、LNG、鉄鋼石、石炭、銅などの資源権益を積極的に取得してきた「日の丸資源会社」となっている。2年連続で、資源価格が急落したことで、今後どのようなマイナス影響が及ぶか慎重に見極める必要がある。

 前年度(2015年3月期)に、大手総合商社は、高値で取得した資源権益に減損が発生した。今年度(2016年3月期)、資源価格が一段安となったことから、追加で減損が発生するリスクも出てきたと考えられる。

 減損額が大きいと、配当予想額を引き下げなければならなくなる可能性もある。そうなると、上の表に記載した予想配当利回りが実現しなくなる。今の魅力的な配当を維持していけるか、まずはこれから始まる2015年10~12月期(今年度第3四半期)の決算内容を見て考えることが必要だ。

原油は構造的な供給過剰に

 急落してきた原油価格が急反発すれば、資源関連株である大手総合商社株も、大きく反発すると予想される。ただし、原油は構造的な供給過剰に陥っており、反発しても上値は重いと考えられる。

 WTI原油先物は、12日には1バレル30ドル台まで下がった。2年前に1バレル100ドルを超えていたのと比べて3分の1以下だ。今回の原油急落を引き起こしているのは「供給過剰」だ。従来、原油を生産することができなかった深海やシェール層からも原油が取れるようになったことが、構造的な供給過剰を生じている。

 まず、過去2年の原油価格の推移を簡単に振り返ろう。

WTI原油先物(期近)の推移:2014年4月1日~2016年1月12日

(出所:シェールオイル生産コストは楽天証券経済研究所の推定)
(出所:シェールオイル生産コストは楽天証券経済研究所の推定)

 2014年の原油急落は、米国のシェールオイル生産拡大によって引き起こされた。シェールオイル増産で、米国の原油輸入が減少したために、原油は世界的に供給過剰となった。

 ただし、2015年に入って原油価格は一時反発局面に入った。原油急落によって、小規模のシェールオイル油井がコスト割れとなり、シェール業者に破綻も増加したことから、シェールオイル生産が先行き大幅に減少するとの思惑が広がった。

 ところが、2015年後半に入って、原油は再び、大幅に下落した。これには3つの理由がある。

  1. 中東の原油生産が予想以上に増加
  2. 米国シェールオイルの生産が予想ほど減少しなかった
  3. 中国の景気減速で需要の伸びが鈍化

 中東産油国は、原油急落を受けて、生産を減らすどころか、逆に生産を増やす国が増えている。価格下落による原油収入の減少を、増産によって補おうとしている。イランは、米国からの経済制裁が解かれる見通しとなったことから、将来の輸出増加をにらんで原油を増産している。

 中東で地政学リスクが高まっていることも、原油価格の上昇につながらなくなっている。紛争が耐えないイラクでも原油生産は増えている。中東以外の地域からの供給圧力もある。

 米国では、コストの高いシェール油井に破綻・撤退するところも出ているが、コストの低い大型油井では、生産技術を進化させて生産を大幅に増やし、さらに生産コストを下げるところも出ている。

 生産技術の革新によって価格が急落しているのは、原油だけではない。鉄鋼石、石炭、天然ガス、銅、白金など、あらゆる天然資源が一斉に急落している。生産技術の革新によって価格が急落するのは、ハイテク製品の世界では当たり前のことだ。

 ところが、21世紀に入り、天然資源は供給に限りがあったために、世界的に需要が拡大する中で供給不足が顕在化し、価格が急騰していた。ところが、価格高騰が生産技術の革新を生み、それが天然資源の供給過剰を生じるに至った。天然資源もようやくハイテク製品と同様に、供給過剰によって価格が下がる時代になったといえる。

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